不登校の子どもたちの居場所「Kukulu」に通う子どもたちと、琉球大学法文学部の講義「働くつながる社会学2」を受講する学生らが5月31日、同大で特別講義と「琉大ツアー」を通し交流した。特別講義では、Kukuluに通う新城飛翼(つばさ)さん(15)が、過去に受けたいじめや不登校の経験を初めて語り「いじめられている人は助けを求めている。そんな人を見たら手を差し伸べてください」と学生たちに呼び掛けた。
Kukuluは昨年から学生たちの現場実習を受け入れている。この日はKukulu側から14~21歳の6人、琉大からは学生10人が参加した。
講義は、NPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい代表理事の金城隆一さんが質問し、新城さんが答える形で行われた。
小学生のころから、問題に答えられないと「ばか」とののしられ仲間外れにされたこと。蹴飛ばされて階段から落ちそうになったこと。頭から牛乳をかけられたこと―。「普通の人がチーターのように走れるとしたら、自分はゾウみたいにのっそのっそ。授業中はプレッシャーで文字が見えづらくなって、頭がごちゃごちゃして意味が分からなくなった」。周囲からの「ばかだ」という言葉が怖くなり、学校に行けなくなった。
那覇市の児童自立支援員を通して、Kukuluに通い出したのは中学2年の頃だ。人と話せず関わりを避けていたが、スタッフの丁寧な関わりが徐々に変化をもたらした。「学校にいた時のような違和感がない。励まされているんだと思った」。心を許せる場所を見つけたことで、進学という目標を見いだし、今春、高校に入学した。
「道に迷っている人には僕が北極星になります。でも、道を見つけ出していくのはその人自身です」。新城さんは、一つ一つの言葉にいじめで苦しむ人への励ましの気持ちを込めた。
新城さんの話を聞いた前田空さん(20)=琉大3年=は「話を聞いて、つらい思いをしている人たちにしっかり手を差し伸べる人になろうと感じた」と述べた。