米軍凶悪犯、県人の2.1倍 県警摘発の人口比 基地内は含まず


この記事を書いた人 志良堂 仁

 米軍人・軍属とその家族が殺人や強姦(ごうかん)などの凶悪犯として県警に摘発された人数が、人口1万人当たりの平均に換算すると1・33人で、県民一般の「県人ら」の0・63人の約2・1倍の高い数値となることが分かった。米軍関係者と県民による犯罪の実数を単純に比較し「米軍関係者による犯罪は県民に比べて少ない」といった実際とは異なる見解が一部で流布しているが、刑法犯の中でも犯行がより悪質で残忍な凶悪犯罪においては、米軍関係者の占める割合が大きい実態が浮き彫りになった。

 凶悪犯は殺人、強盗、放火、強姦を指す。2010年を除く02~11年の9年間の刑法犯摘発人数のうち、凶悪犯を対象として換算した。分母となる米軍関係者らの総数は、県が在沖米軍に聴取して公表した数字による。10年、12年以降の在沖米軍関係者人数は非公表となっており、この数字には含めていない。

 対象とした9年間の米軍関係者による凶悪犯摘発人数は55人。単年でみると最も多かったのは08年で、13人が摘発された。同年には在沖海兵隊所属の2等軍曹=当時(38)=による女子中学生暴行事件、嘉手納基地所属の憲兵隊員らによるタクシー強盗致傷事件などが発生。この年の人口割は県人らの0・48人に対して、米軍関係が3・21人で約7倍だった。

 02年、07年の人口割は「県人ら」による摘発が多いが、それ以外の各年では、米軍関係者によるものが「県人ら」の約2~7倍に上っており、平均すると約2・1倍の差が浮かび上がった。

 一方、窃盗犯や粗暴犯を含む刑法犯の摘発総人数では、「県人ら」29・5人に対し、米軍関係者15・44人となり「県人ら」の人口割が約2倍となる。しかし、県警の統計には基地内で発生した事件は反映されておらず、米軍関係者らによる犯罪の実情はさらに深刻な状況にあるとみられる。

 県警の統計によると13年以外は毎年、県内で米軍関係者による凶悪犯罪が発生している。県警の発表資料によると、1972年5月15日から2015年末までに574件発生し、摘発人数は741人に上る。