地下水懸念の声相次ぐ 宮古陸自配備 防衛省説明会に350人


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宮古島市への陸自配備計画で、初めて開かれた説明会に参加する市民ら=12日、宮古島市中央公民館

 【宮古島】宮古島市への陸上自衛隊配備計画で、防衛省は12日、初めての説明会を市中央公民館で開催した。市民約350人が参加。二つの配備候補地のうちの一つ、市平良の「大福牧場」が市内最大の地下水源地周辺にあることから、同省は汚水や排水の漏えい対策に力を入れると強調。だが、賛否それぞれの立場の市民から地下水への影響を懸念する声が相次いだ。

 配備に反対する市民らが「なぜこの場所に基地を造るのか」と声を荒らげるなど、怒号が飛び交う場面もあった。会場の外には配備に反対する市民ら十数人が詰め掛け、「軍事の島にしないで」「生命(いのち)の水を守ろう」などと書かれたプラカードを掲げて配備計画に抗議した。

 沖縄防衛局の森浩久企画部長が中国の軍事情勢の台頭を説明し、配備の必要性を強調した。東日本大震災や熊本地震での災害派遣実績もPRした。配備に伴う経済効果も強調した。

 大福牧場周辺に計画される駐屯地には隊舎や覆土式の射撃場と弾薬庫を設置すると説明した。場外着陸場が建設され、ヘリが発着する可能性もあるとした。

 一方、もう一つの候補地、市上野のゴルフ場「千代田カントリークラブ」には訓練場や家族連れの隊員用の宿舎を設置するとした。ただ、どのような訓練をするかについては「具体的に決まっていない」と明らかにしなかった。

 質疑応答では、配備に賛成する新里聡宮古島市議が「水源流域に隣接すると市民が感情的になる。場所の変更は可能か」と質問した。森企画部長は「変更は難しい」と答えた。

 配備に反対する自営業の斎藤昌也さん(48)=市城辺=は「説明会は配備を進めるためのアリバイづくりだ。納得できない」と話した。賛成派の60代の男性は「防衛省は水がめへの対策をいろいろやってくれる。十分理解できた」と話した。