オリオンが給付奨学金 創立60年記念18年度に開始


この記事を書いた人 新里 哲
子どもの貧困対策について語るオリオンビールの嘉手苅義男社長(左)と亀田浩経営戦略部長=16日、那覇市のホテルロイヤルオリオン

 オリオンビール(浦添市、嘉手苅義男社長)は16日、2017年5月に迎える創立60周年の記念事業として、奨学金・教育支援事業を創設することを発表した。年総額3千万円の資金を基に、大学進学を希望する県内高校卒業者に返済義務のない奨学金を給付するほか、経済的に厳しい家庭環境にある児童生徒を対象にした学習支援を行う団体への寄付を行う。

 事業の運営主体となる「オリオンビール奨学財団」を近く設立し、オリオンビールは運営資金3千万円を毎年寄付する。

 奨学金事業は「経済的な理由で大学進学を諦めてしまう優秀な学生に対して給付する」として、2018年度の大学入学生からの給付開始を計画する。来年7月に募集を始める想定で、公益財団法人認可などの作業を進める。給付条件などは財団設立後に決定するが、月額4万円の給付で、毎年10~15人程度を選考するイメージを示した。

 教育支援事業は今年8月から実行する予定で、子どもの貧困対策のため県内11大学などでつくる「大学コンソーシアム沖縄」への寄付を想定している。

 15日に那覇市のホテルロイヤルオリオンで記者発表した嘉手苅社長は「沖縄は子どもの貧困率が全国ワーストで、子どもを取り巻く環境は厳しいものがある。地域貢献に寄与する事業を60周年記念のコンセプトとし、以前から考えていた貧困問題に取り組むことを決めた」と述べた。

 事業概要を説明した亀田浩取締役経営戦略部長は「基金の運用益で奨学金を出すケースもあるが、マイナス金利の中で基金運用は難しいと考える。オリオンビールが毎年3千万円を拠出することで運営が安定的なものになる」と語った。