「父も私も撃たれた」 アミークス平和学習 職員が戦争体験語る


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清掃員の伊波和子さん(左)と金城末子さんとから沖縄戦の話を聞く沖縄アミークスインターナショナルの小学3年生=うるま市栄野比の同校

 沖縄アミークスインターナショナル(うるま市)は21日、小学3年生90人を対象に平和学習を行った。同校清掃員の伊波和子さん(75)と金城末子さん(63)が、自身の体験と家族から伝え聞いた沖縄戦の話を語り、戦争の悲惨さを教えた。

 児童は普段から親しくしている清掃員から平和の尊さを学び「二度と戦争はしない」と誓った。

 伊波さんの父親は沖縄戦で防衛隊に入ったが、熾烈(しれつ)な戦闘で家族が心配になり、自宅に戻ろうとしたところを日本兵に銃で撃たれ、両足を切断する大けがを負った。戦後も逃走兵として国の援護を受けられず、両足を失ったまま農作業に従事して家族を支えたという。

 4歳だった伊波さんも、妊娠中の母親に抱かれたまま米軍の機銃掃射を受け、左足に傷を負った。北部へ逃げる途中、死んだ母親のおっぱいを吸う赤ちゃんも見たが、誰も助けたいという気持ちが湧かなかったという。伊波さんは「あまりの残酷さで人間が人間でいられなかった。戦争は絶対に嫌だ」と語った。

 金城さんは家族13人中10人を沖縄戦で亡くした。自身は戦後生まれだが、家族から聞いた体験を語った。「死ぬときは『天皇陛下万歳』と言って死ね」と教えられていたが、日本兵を含め、ほとんどの人が最期に「お母さん」と言って息を引き取っていったという。

 父親が米国人のペトロスキー・プレストン君(8)は「戦争でたくさんの人が亡くなり、かわいそうだと思った。帰ったらお父さんにこの話を聞かせてあげたい。戦争があったら大変だと知ってもらいたい」と語った。