32軍壕の模型「見て学んで」 首里の周辺の街並みも 北谷で10日まで 各地を巡回 沖縄


32軍壕の模型「見て学んで」 首里の周辺の街並みも 北谷で10日まで 各地を巡回 沖縄 「形で見ることで学びのきっかけにしてほしい」と語る建築家の福村俊治さん=4月30日、北谷町のちゃたんニライセンター
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 【北谷】沖縄戦を指揮した首里城地下第32軍司令部壕新模型展(同司令部壕の保存・公開を求める会主催)が北谷町のちゃたんニライセンターで開かれている。入場無料、10日まで。大小さまざまな規格の司令部壕模型が展示され、500分の1の物では首里城や周辺の丘陵に点在する街並みと司令部壕の対比も再現。同会会員で模型製作者の1級建築士、福村俊治さん(71)=浦添市、チーム・ドリーム=は「目に見える物じゃないと伝わらないこともある。形から見て知って興味を持ち、学びにつなげてほしい」と期待する。

 同会関係者の依頼を受け、模型を造り始めた福村さん。かつて、首里城そばの那覇市立城西小学校や県平和祈念資料館の建築にも携わった。「沖縄戦の作戦が決定された司令部壕があったため首里城などの一帯は爆撃され、32軍が南部に撤退して戦争が引き延ばされて南部で多くの住民が亡くなった。この壕で住民を守る議論は一つもなかったはずだ」と話す。

 沖縄戦終結前からすでに米陸軍が測量していた司令部壕の資料から再現した模型は現在六つあり、県内各地で巡回展示している。同会は県に司令部壕保存を求め、壕の近くにサブトンネルを掘って近くで見学できるような公開法を提案する。

 福村さんは「32軍から始まった今の米軍基地問題は軍事だけでなく人権の問題。住民はまだ基地周辺の住みづらい場所に住まわされ、騒音に悩まされている」と指摘し、その源流としての司令部壕の保存や公開を求めている。

 次回は那覇市泉崎の琉球新報で11日から30日、6月3日から28日まで西原町中央公民館、7月には平和祈念資料館で展示される。6月を中心に各地の小中高なども巡回する。詳しくは同会HPで。

 (石井恭子)