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32軍壕、保存・公開方針探る 検討委が初会合 沖縄県、来月に素案


32軍壕、保存・公開方針探る 検討委が初会合 沖縄県、来月に素案 第32軍司令部壕の「エンジニアリングトンネル」と呼ばれる坑道内部。壁面には掘削時のつるはし跡や坑木が残る(代表撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 沖縄戦を指揮した第32軍司令部が拠点とした首里城地下の第32軍司令部壕の保存・公開に向け、県の「第32軍司令部壕保存・公開基本計画検討委員会」(吉浜忍会長)の初会合が1日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで開かれた。沖縄戦研究や平和ガイド、地盤工学の専門家など12人の委員が集まり、保存と整備公開の両立の難しさや、安全性を確保しながら公開範囲や方法を決める必要性を確認した。

 基本計画は、公開方針が決まっている第1・5坑口に加え、現存する第2・3・5坑道などを含めた全体の対応方針を決める。県は、骨子素案として(1)公開整備(2)保存整備(3)両方を進める区間―に分ける想定を示した。

 県平和祈念資料館友の会事務局長の仲村真委員は「公開に当たっては事故がないように、また文化財指定との関係も議論が必要だ」と指摘。早稲田大名誉教授でトンネル工学の小泉淳委員も「今入れる所から地上に影響なく掘ることは可能だが、保存との兼ね合いで工夫して(調査や整備を)進める必要がある」と述べた。

 県は9月に素案を示し本年度中に基本計画を策定する。

  (中村万里子)