<記者コラム>そういう人に私は… 大城三太(暮らし報道グループ運動班)


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 皆さんはあこがれの人や、感銘を受けた行為ってありますか?

 琉球ゴールデンキングスの取材の際、沖縄アリーナの入り口付近で、前を歩いていた高校生風のグループの一人がポケットからシールを落とした。よかれと思い声を掛けて渡すと、視線も合わせず「あぁ…」とただ受け取った。

 かくいう自分も、高校野球の取材で球場を移動していると、チーム単位で選手とすれ違うことがよくある。こちらは全員が気持ち良くあいさつしてくれるが、一人一人に丁寧に返事をしようとすると結構大変だ。なので「ちわっす」を連発しながら駆け抜けることがしばしば。礼儀って難しい。

 卓球の琉球アスティーダのホーム戦で珍事が起きた。入場の際に木造勇人選手(当時)の名が呼ばれず、コートへ出るに出られない状態に。面目丸つぶれだが、戸惑いの表情は見せたものの怒る様子はなく、タイミングを見計らい何事もないかのように他の選手と合流した。人柄がにじみ出ていた。

 「沖縄ともろさわようこ」(源啓美・河原千春編)に、地域の座談会で出た話として次の逸話がある。〈タクシーの運転手である彼女(座談会参加者)の父が、本土からの観光客をのせたとき、沖縄原住民のいるところへ案内しろといわれ、「私が沖縄原住民です」と答えると、「いや、あんたは原住民ではない」といわれたそうである〉。ふむ。とっさに、そういう切り返しができる人になりたい。