非暴力の生き方 継承 阿波根さんの足跡学ぶ


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物を大事にした故阿波根昌鴻さんが使い続けた形見のベルトを見せながら語る(左から)謝花悦子理事長と聞き入る佐々木和之さん・恵さん夫妻=17日、伊江村東江前のわびあいの里

 【伊江】アフリカ中央部に位置するルワンダ共和国のフィエ市の大学で平和学を教えている佐々木和之さん(50)と妻・恵さん(58)は17日、伊江村にあるわびあいの里を訪れた。平和運動に生涯をささげ、非暴力と道理で闘い続けた故阿波根昌鴻さんの生き方や声を語り継いでいる謝花悦子理事長と対談。佐々木さんは阿波根さんの足跡をたどり、授業で紹介する意向だ。

 佐々木さんはルワンダ在住11年。イギリスの大学院でルワンダの平和構築について研究し、1994年に起きたルワンダの大虐殺後今もなお、心に傷を抱える被害者と加害者の関係修復を支援する活動に参加してきた。現在は、フィエ市にあるプロテスタント人文社会科学大学平和紛争研究学科の責任者として教壇に立ち、「非暴力の理論と実践」などをテーマに授業を行っている。

 世界のガンジーやキング牧師と並ぶ日本の阿波根さんを授業で紹介しているという佐々木さん。書物だけでは分かり得ない阿波根さんの人となり、生き方を聞き取りたいと訪れた。

 阿波根さんについて謝花理事長は「時代に合わせたり、ただ否定したりという生き方はしなかった人で、徹底した節約生活を送り闘った人。暴言や暴力を振るわない非暴力で最後まで闘い尽くし、その道理の闘いが勝利したと言える。『平和の武器は学習』と言い続けて勉学に励み、ユーモアに富んでいた」と語った。

 佐々木さんは「ルワンダでは虐殺に加担した加害者が社会復帰し、加害者と被害者が同じ村に住んでいる状況があり、両者の和解と共生が課題だ。虐殺によって父親が殺されて心を痛めている教え子もいる。平和をつくるために阿波根さんの生き方や教えを伝えていきたい」と述べた。
(中川廣江通信員)

英文へ→Inheriting non-violent way of life from father of the Okinawan civil rights movement