基地内文化財調査、合同委の判断に 米軍が制約強化 環境協定に不備


この記事を書いた人 志良堂 仁

 県と宜野湾市による昨年度の米軍普天間飛行場の埋蔵文化財調査を米軍側が不許可にしたことについて、在日米軍は1日、琉球新報の取材に対し、2015年9月に締結された日米地位協定の環境補足協定を理由に不許可にしたと明らかにした。その上で、補足協定が許可した返還約7カ月より前に地元自治体が基地への立ち入り調査を申請する際は、「調査のたびに日米合同委員会で合意を得る必要がある」と回答した。沖縄の「負担軽減」と強調された補足協定を機に、調査実施のハードルが高くなった実態が浮き彫りになった。

 環境補足協定は、地位協定に、自治体の基地内立ち入り調査に米側が「妥当な考慮を払う」などの項目を盛り込んだもの。安倍晋三首相は「安倍政権になって、環境補足協定のような事実上の地位協定の改定を行うことができた」と成果を強調していた。
 しかし、普天間飛行場は「2022年度またはその後」の返還で合意していることから、その7カ月前までは、同基地内での埋蔵文化財調査は日米合同委員会で協議し、毎回合意を得る必要が生じることになる。
 7カ月以内の返還予定がない他の基地でも同様の問題が相次ぐと予想される。
 日米合同委は限られた政府高官と米軍高官が非公開で行うもので、地元自治体は一切関与できない。
 今後の文化財調査の実施について在日米軍は「環境補足協定に基づき、日本政府は合同委員会に要望を出すことができる」と回答し、現段階では合同委での具体的な協議の予定はないことを示唆した。
 県と宜野湾市は1999年から普天間飛行場の埋蔵文化財を調査しており、基地司令官と地元自治体の「信頼関係」で立ち入り調査をしてきた。