ホクガン、工場排水を打ち水に 自家処理し屋上散布 電気・下水料金を節約


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 【糸満】食品製造・販売のホクガン(那覇市、上原武市会長)は15日から、糸満市の工場から出る排水を高度処理、滅菌して屋上に散水することで室内の温度を下げ、電気料金と下水道料金を低減化するシステムを導入した。システムの導入により年間の下水道料金を約1500万円削減できる見込み。同社によると、同様の省エネルギーシステムを採用したのは同社が県内初という。

 電気料金については試算していないが、年間約1億円かかっていた料金を一定程度削減できる。工場では氷や生鮮食品などを扱うため室温を低く保つ必要がある。1日に約200トンの排水が出るため、電気料金と下水道料金が高額になっていた。

 このため同社はコスト削減の手法を検討し、約1億5千万円かけて高度処理した排水を屋上に上げ、散水できる施設を整備した。高度処理、滅菌した排水は水道水などと比較しても劣らないほど浄化されている。システム導入に当たっては糸満市の許可も得ている。

 工場の屋上には浄化した水をまくためのスプリンクラーを86基設置。日光に当たり高温となった屋上は水をまくとすぐに蒸発するため、気化熱の原理で表面温度と室内の温度が下がる。

 システムの導入を担当した上原竹次郎監査役は「コスト削減だけではなく自然環境にも優しい仕組みを導入できた。食品工場なので排水の浄化、滅菌には万全を期している。今後、ほかの工場でも同じ仕組みを導入できるか検討したい」と話した。