高江ヘリパッド候補地、米運用優先し選定 環境評価書で判明


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 米軍北部訓練場の部分返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設計画に関して、日米両政府が建設場所の選定に向けて交渉した際に「G地区」と呼ばれる地域の着陸帯建設を決めるに当たり、訓練を理由とした米軍からの「強い要望」を受けて決めていたことが23日分かった。米側の運用を優先させる形で候補地を選定した経緯が鮮明となった。

 米側が「特に新規提供された水域における訓練も含め、訓練および兵士の救助を支援する目的で必ず必要」と主張していた。同地区周辺では1996年に北部訓練場の部分返還が決まったのに伴い、宇嘉川河口部近くの訓練区域が米側に追加提供され、沿岸・河口部と連動した新たな訓練が加わる機能強化が指摘されてきた。

 選定の経緯が記載されているのは防衛省が2007年に作成した「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業環境影響評価図書」の要約書。日本側が事前に候補地を検討した「米軍調整前候補地」では11カ所が挙がり、いずれも環境や住民生活に与える影響、地形の改変などを理由としていた。

 米側と交渉した後に「N1」「N4」「G」「H」の4カ所に絞り込んだ理由については、全て「米軍の運用上」という文言が盛り込まれていた。このうち東村高江集落に近接するN4地区について影響評価図書の米軍調整前の選定理由は「既設着陸帯区域に設置されることや、当該事業の実施で訓練形態などに変更はないと理解していることから、現状に比べ周辺地域の生活環境に著しい影響を及ぼすことはないと判断」と記載していた。

 N4地区のヘリパッドは2014年7月に完成し、米側に先行提供された。その後、沖縄防衛局が実施した騒音調査では、同ヘリパッド周辺の高江区牛道で16年6月に発生した騒音は1日当たり32・8回で提供前の14年6月の8倍に達し、夜間騒音発生回数は383回と14年度の月平均の約24倍に上り、騒音が急増している。
(滝本匠、島袋良太)