急増する訪日外国人の医療受け入れで言語対応の遅れが課題とされる中、中国語学校SORAアカデミーサポート(那覇市)社長の城間宇恵(そらえ)さん(45)がこのほど、中国語1級の医療通訳士技能検定試験に合格した。検定は2014年から一般社団法人・日本医療通訳協会が英語と中国語で実施しており、県内の合格者は両言語通じて初めて。
医療機関と外国人の患者・家族との意思疎通を図る医療通訳の検定試験は、語学力だけでなく、専門的な医療知識も問われる難関だ。県内で医療通訳の養成に取り組んでいる城間さんは「医療の面から沖縄観光の安全、安心をサポートしたい」と述べた。
城間さんは中国黒竜江省出身。開拓団の子として戦前の中国に渡り大陸に残された県出身の母親と、中国人の父親との間に生まれた。母親が沖縄に引き揚げるのに伴って20歳で来沖した。「先進国の日本に行ってみたいという軽い気持ちだったが、言葉が通じず大変だった。ハンディを強みに、言葉に関係する仕事に就いた」と流ちょうな日本語で振り返る。
昨年8月からは、医療従事者や看護学生を対象に、豊見城市の補助金を活用した中国語講座の講師を任されている。城間さんは「患者と接し、医療のプロの看護師や薬剤師などが言語を学ぶことで受け入れ体制の整備が進む」と語った。