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水球日本、32年ぶり五輪へ リオで鉄壁守り誓う“守護神” 石垣島生まれのGK棚村、兄と切磋琢磨


水球日本、32年ぶり五輪へ リオで鉄壁守り誓う“守護神” 石垣島生まれのGK棚村、兄と切磋琢磨 アジア選手権でリオデジャネイロ五輪出場を決め、喜ぶ棚村克行(2列目左)ら水球男子日本代表=2015年12月20日、中国広東省仏山
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子

 水球男子日本代表は昨年12月のアジア選手権で優勝し、リオデジャネイロ五輪の出場権を獲得した。1984年ロサンゼルス大会以来、32年ぶりの五輪出場で注目を集める「ポセイドンジャパン」で正GKを担うのは、石垣島出身の母を持つ棚村克行(26)だ。同じ水球選手の兄・英行(28)の背中を追って競技を始め、たどり着いた夢舞台。家族や島の人たちの思いも胸に、勝負の時を待つ。

 母・京子さん(57)が石垣出身で、父・政行さん(62)は早稲田大法学学術院教授の著名な研究者だ。克行、英行とも石垣島で生まれた。小中高と東京で過ごしたが、幼い頃から今も頻繁に島を訪れ、克行は「石垣島の血が流れていることを誇りに思っている。自分の活躍で島の子どもたちに夢を与えられればうれしい」と語る。

 現在、兄弟はともに新潟県柏崎市が拠点の社会人チーム「ブルボンウォーターポロクラブ柏崎」に所属。ポジションも同じGKで切磋琢磨(せっさたくま)してきた。英行は「弟とはずっといいライバル」と言う。

(左から)棚村克行と棚村英行

 5カ国による総当たりのリーグ戦で争われた昨年のアジア選手権。日本は最終戦で中国との全勝対決を制して五輪出場「1枠」を獲得したが、快挙までには長く不遇の時代があった。

 棚村兄弟そろって代表入りし、当時は英行が正GKを務めた2012年は、アジア予選で五輪出場権を獲得できず、最終予選派遣は実力不足との理由で見送られた。2人の悔しさを知る母の京子さんは今回の克行の活躍を喜び、「メジャーとはいえない競技をずっと応援してくれる人たちが沖縄や東京にいる。その皆さんの夢がかなったことがうれしい」と感慨深げだ。

 現日本代表はゴール前を固める典型的な戦術ではなく、前に出て相手のパスを阻止する守備が特徴で、GKながら攻撃的なプレーができる克行の役割は大きい。本人は「近い距離のシュートをいかに止められるかが鍵。GKが飛び出すことが重要なので気合を入れてやっている」と言う。

 世界との壁は厚いが、日本はリオでベスト8入りを目標に掲げる。克行は「見ている人がわくわくできる試合をしたい」と誓い、英行は弟へ「兄弟で作りあげたスタイルを世界に示してほしい」と期待を込めた。

(大城周子)