沖縄市の県総合運動公園体育館で、昨年11月の床材張り替えで発生した約2センチの段差はいまだ改修されていない。車いす利用者にとってこの段差はどのような障壁なのか。車いすトラベラーの三代達也さん(35)に聞いた。三代さんは自身の経験から、段差を越える際の衝撃により足が震える「痙性(けいせい)」の反応が起こり得ることを指摘した。
三代さんによると、約2センチの段差を乗り越えられるかは(1)段差に気づいているか(2)腕の力があるか(3)車いすに乗り慣れているか―によって異なる。三代さんは、自身の腕力について「車いす利用者の中でも弱い方だ」と説明。しかし車いすに乗り慣れていることから、「約2センチの段差は気づいていれば、前輪を浮かせることで越えられる」という。
気づいていない場合や腕の力がさらに弱い場合は、前輪が引っかかり1回で乗り越えることは難しいという。また足に衝撃が伝わることで、足が震える「痙性(けいせい)」の反応は、止まるまで足を押さえなくてはならないことが、強いストレスだという。
三代さんは「今の時代にこの段差が新しくできたということが驚きだ」と落胆した。SNSでこの事例を紹介した際はパラスポーツのアスリートからも、同様の事例は全国的にもほとんど見たことがないとの声があったという。
段差は床材張り替えの完了から8カ月経った現在、利用者がつまずく事例などを受け、「段差注意」の看板が設置されている。NPO法人バリアフリーネットワーク会議の親川修代表は「県が施設にバリアをつくって障がいのある当事者を入れないようにしているとしか思えない」と怒りを示した。
(福田修平)