米軍ヘリ うるま沖墜落1年 原因公表いまだなし


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 【うるま】米軍のMH60ヘリコプターがうるま市伊計島南東の海上で米海軍艦船への着艦に失敗し、墜落してから12日で1年を迎える。事故当時、政府や県、各議会などが求めた事故の原因究明や情報提供、連絡体制の確立などは何もなされていない。詳細な事故原因が分からぬまま、事故機と同型ヘリは今も上空を飛んでいる。

 米軍ヘリは2015年8月12日午後1時46分に墜落した。沖縄防衛局が県や市へ連絡したのは、事故から約2時間後の午後4時前。うるま市には「嘉手納沖に墜落」と一報が入った。詳細な情報が入ったのは事故から約6時間後だった。

 事故当時、島袋俊夫うるま市長は連絡が遅かったことに対し「報道でしか詳細が分からなかった。日ごろは“隣人”と言いながら、迅速な対応がない」と、米軍や防衛局の対応に苦言を呈した。

 一方、市議会は事故から6日後の同18日、臨時議会を開き、抗議決議と意見書を全会一致で可決した。(1)事故原因を徹底的に究明、迅速に公表(2)事故原因の究明と再発防止が講じられるまで、同型機の飛行停止(3)通報体制の確立(4)日米地位協定を抜本的に改める―の4点を内閣総理大臣や防衛局など関係機関に申し入れた。

 決議では、宮森小ジェット機墜落事故や川崎へのヘリ、ジェット機墜落事故についても言及した。「市民の不安と恐怖は極限に達している」と市が目指す「安心・安全な生活環境の確保」を強く求めた。

 市防災基地渉外課は「米軍の事件、事故が起こる度に原因は公表するように伝えているが、情報提供はない。いまだに(うるま沖ヘリ墜落の)原因は分からない」と事故の原因究明や情報提供を求めた。