沖縄都市モノレール「ゆいレール」で全15駅中6駅で昇降機が止まったままになっている件で、県が4月以降にメーカーから古島駅エレベーターの部品交換の提案を受けていたにもかかわらず交換せずに運用を続けていた結果、不具合が生じてエレベーターが使用できなくなっていたことが分かった。県外の同業他社は昇降機の保全について「管理者にあらかじめ予算措置をしてもらい、計画的に対応している」とした上で、エレベーターが長期間停止し、利用者に不便を強いている事態について「あり得ない」と疑問視している。ゆいレールの昇降機停止問題で沖縄都市モノレールと昇降機を管理する県、国、那覇市の4者は19日に協議し、修理に迅速に対応できるようモノレール社の裁量を拡大する方向で調整する。
古島駅で故障しているのは、エレベーターの扉の開け閉めを制御する部品。メーカーが4月以降の定期点検で「経年劣化のため、取り換える必要がある」と報告していた。しかし県は部品交換を発注せずに運用を続けた。6月15日の定期点検でメーカーから「信号を受信せず、扉の開閉不良の恐れがある」と報告を受け、県はエレベーターの使用を停止した。
メーカーの担当者は「沖縄の環境は塩害や雨が多く、部品の交換は(他府県より)早くなる。今回のユニットは通常10~15年ぐらいで壊れる。しっかり交換できていれば、故障は防げただろう。発注されれば、工事も含めて1カ月で対応できる」と話した。
県都市計画・モノレール課の担当者は「本年度の点検業務の中で、部品交換の提案を受けた。しかし直ちに動かなくなる状態ではなかった。その後の定期点検で動作を確認しながら使用を続けていた」と話した。9月末としている復旧時期は「(壊れた部品が)受注生産品で、納期の関係でメーカーが示した時期だ」と説明している。
出張で来県した松浦葵(あおい)さん(26)=会社員=は古島駅の階段を大きなトランクを抱えて降りた。松浦さんは「どこが管理しているのか知らないが、利用者にとっては関係ない。安全性を確保してほしい」と述べた。
浦添市の女性(73)は「階段が長くて脚が痛み、降りるのが怖い。タクシーやバスに切り替えることも考える」とため息をついた。