「詐欺にはひっかからないと思っていた」 被害に遭った20代の公務員男性、その手口とは<急増 警察官かたるオレオレ詐欺被害>その1 


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 警察官をかたって現金を振り込ませるオレオレ詐欺被害が急増している。警察官などを名乗る人物が、被害者が犯罪に関与している可能性を指摘し、逮捕状をちらつかせて、捜査の一環として金を振り込ませる詐欺だ。

 沖縄県警は「警察が電話やSNSで金銭を要求したり、逮捕状を見せたりすることは絶対にない」と注意喚起する。

 「詐欺にはひっかからないと思っていた」。

 そう語る宜野湾市の公務員男性(28)は、警察官を名乗る人物からの電話を受け、約80万円をだまし取られた。被害者の心理を巧妙に利用する詐欺師の手口を、男性が語った。

■スマホに非通知の着信

 今年4月4日午前10時ごろ。男性のスマートフォンが鳴った。番号非通知の着信だった。普段なら取らないが「その時は何となく取ってしまった」。

 相手は県外の警察官を名乗り、中部地方で発生したマネーロンダリング(資金洗浄)事件に男性が関与している可能性を告げた。男性の名前も知っていた。管轄するA県警から連絡があることなどを告げて、最初の電話は終わった。約10分後、A県警の警察官を名乗る男から電話があった。

 「警察官」は、資金洗浄事件で逮捕した主犯の自宅から男性名義のキャッシュカードが発見され、主犯は複数人から口座を買い取って犯行に使用し、口座の名義人にも数%のキックバックをしたと話していると説明したという。

 男性が「心当たりがない」と語ると「警察官」は個人情報が流出し、男性の知らないところで口座を作られた可能性を指摘し、最近のインターネットでの買い物内容を細かく質問してきた。

「取り調べ」のために登録するよう求められた「捜査専用LINEアカウント」のスクリーンショット。プロフィル画像には旭日章が設定されていた(被害男性提供)

■「旭日章」のLINEに登録させられ…

 「警察官」は男性を取り調べる必要があると告げ、A県警に来られるか尋ねてきた。「すぐには厳しい」と男性が答えると、ビデオ通話での取り調べもできると提案した。応じない場合は逮捕される可能性もあるとの説明もあったという。 男性は「捜査の仕組みも分からないので、時代に合わせてビデオ通話での取り調べもやるのか、という受け止めだった」

 ビデオ通話をするため「警察官」はLINE(ライン)の専用アカウントIDを案内し、登録を求めた。アカウント名は「捜査本部」で、プロフィル画像は警察のシンボルマーク「旭日章」だった。「警察官」は捜査という機微に触れるやり取りのため、誰にも言わず、一人になるよう求めてきたという。職場にいた男性は駐車場の車に移動した。