軍転協、日米両政府に米軍事件防止要請へ 人権教育徹底求める


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 沖縄県と基地を抱える市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協、会長・翁長雄志知事)は23日、那覇市の県市町村自治会館で2016年度定期総会を開いた。9月上旬に予定する日米両政府への要請行動で、日米地位協定の抜本改定や基地の返還推進といった従来の要求に加え、4月の米軍属女性暴行殺人事件などを受け、事件の再発防止と人権教育の徹底を求めることを確認した。米軍普天間飛行場返還・移設問題では固定化阻止、県外移設、早期返還と危険性除去を求める。

 要請は他に(1)日米地位協定の環境補足協定の締結を機に、市町村が基地内文化財を調査できなくなった状況の改善(2)騒音基準「3、4級」以下の教育施設に対する国の空調維持費補助の継続(3)嘉手納基地が汚染源とみられる有機フッ素化合物(PFOS)の対策、PCB廃棄物の適正処理―などを求める。

 普天間問題を巡っては、事務局が前年度と同じく「固定化阻止」と「県外移設」を盛り込んだ要請内容を提案したのに対し、佐喜真淳宜野湾市長は「固定化が気になる。市民の精神的、肉体的な負担は限界だ」と訴え、固定化阻止のために政府が「あらゆる手段を講じる」よう求める文言を加えるべきだと主張した。

 一方、政府が移設先とする名護市の稲嶺進市長は「固定化はあってはならない。だが『あらゆる方策を排除しない』という文言は2013年に、県選出の自民党国会議員が辺野古移設を受け入れた際に使われた」と指摘。「同じことが起きるのではないかと危惧する」と反対した。

 総会では事務局案を全会一致で承認した上で、9月上旬の要請行動まで文言調整を続けると確認した。