本島・宮古・八重山のニービチソング集めたCD!?【島ネタCHOSA班】


本島・宮古・八重山のニービチソング集めたCD!?【島ネタCHOSA班】 演奏に参加した高那真清さん、石川陽子さん
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このたび「沖縄ニービチソング決定盤」というCDが発売されたという情報をゲットした調査員。本島・宮古・八重山のニービチソングを一枚に集めたCDはこれまでなかったそう。さらに付属のブックレットを読めば、それぞれの地域の結婚式の特色が分かるということですか…?

9月25日に発売されたCD「沖縄ニービチソング決定盤」。発売元のリスペクトレコードは、沖縄音楽にほれ込み、これまで何枚ものCDを手掛けてきた高橋研一さんが代表を務める会社です。今回、演奏に参加した高那真清さん、石川陽子さんのお二人も交え、お話を聞くことができました。

地域の特色盛り込む

このCDは、文字通りニービチ=結婚をテーマにしたもので、本島・宮古・八重山と、それぞれの地域の結婚式で、現在でも歌われている16曲を収録しています。

「僕は内地の人間ですが、沖縄本島での結婚式に2回出たことがあり、すばらしいなと思ったんです」と高橋さん。参加人数が時には200人、300人以上となり、「かぎやで風節」から始まり、親族・友人らの余興を挟みながら、最後はカチャーシーでにぎやかに終わるスタイルに感銘を受けたそう。

「その話を琉球古典音楽野村流保存会 南部支部支部長の野原廣信さんにお話したところ、結婚式で実用的に使えるCDを作ったらニーズがあるんじゃないか、と。さらに、せっかく作るなら、本島だけでなく宮古・八重山のニービチソングも入れたらという提案があったんです」

これまで本島だけのニービチソングを集めたCDはあったそうですが、宮古・八重山のニービチソングも一枚に収めたCDは初とのこと。よく演奏される曲目には地域ごとに違いがあり、例えばオープニングの曲では、「かぎやで風節」のほか、八重山では「鷲ぬ鳥節(ばすぃぬとぅるぃぶすぃ)」「赤馬節」、宮古では「とうがにあやぐ」が選ばれることが多く、フィナーレには、根っからの八重山の人は「六調節」、宮古ではクイチャーが好まれるのだとか。

離婚の危機も救う?

もう一つの特色は、48ページのブックレットが付属しており、本島・宮古・八重山それぞれの結婚式の様子が詳しく紹介されていることです。

「私も今回、ブックレットを読んで、本島・宮古・八重山で演奏される曲が違うことにびっくりしました」と本島を拠点に活躍する石川陽子さん。琉球民謡協会教師の資格を持ち、三線指導者としても活躍していますが、「三線を勉強している人でも、この違いはあまり分からないのでは」と話します。

「八重山は結婚式をアイナーヨイと呼びます」と20代の頃から数々の結婚披露宴で歌・三線を演奏してきた琉球古典音楽野村流保存会 八重山支部支部長の高那真清さん。新郎方のきょうだい・いとこがかぎやで風節か赤馬節を、新婦方が鷲ぬ鳥節を踊ったり、教訓歌である「でんさ節」を新郎新婦のおじさん・おばさんが心を込めて歌ったり、という特色があると教えてくれました。「それと、今でも余興のステージにおひねりが飛んできますよ」と高那さんは笑います。

宮古は開幕するとあちこちでオトーリが始まり、会場がにぎやかに。「私も参加したことありますが、途中から騒がしくなるから、演奏のボリュームを上げないといけなくなる」と高那さんは体験談を愉快に話してくれました。*

CDは実際の結婚式で使って踊れるように、と企画されていますが、沖縄音楽の名曲が一枚にまとまっているため、結婚式以外で聴いても楽しめます。

「結婚当初幸せだった夫婦も、年を経ると離婚の危機もあるじゃないですか。その時はこのCDを聞いて、その当時を思い出してほしい」と石川さんはアピールします。

みなさんも、一家に一枚、いかがですか?


「沖縄ニービチソング決定盤」

(リスペクトレコード RES―350定価3520円)
県内のレコード店・CDショップで販売中。在庫がない場合、取り寄せも可

問い合わせ 03―3746―2503

(2024年10月3日 週刊レキオ掲載)