【南城】南城市内に1カ所残る公立保育所の存続を求める陳情が市議会(大城悟議長)の6月定例会で不採択となった際、本紙に掲載された市社会福祉法人立保育園園長会の竹千晶会長の「議員の発言は(民営化を進める)市長の代弁にすぎない」との発言について、大城議長らが竹会長を呼び出して「怒りを通り越している。市議会のメンツが丸つぶれだ」と追及していたことが分かった。識者は議長らの対応を疑問視した上で「『市長の代弁』と見なされたこと自体、議会は考える必要がある」と指摘した。
6月24日に開かれた6月定例会最終本会議で、園長会や市民団体などが提出した公立保育所の存続を求める陳情4件が賛成少数で不採択となった。竹会長は議会終了後、本紙の取材に「議員は市民の代表のはずなのに、陳情の採択に反対する議員の発言は(存続に反対する)市長の代弁にすぎない」と答えていた。
市議会は8月、全員協議会で竹会長の発言について議論。市議らによると「議会に対する名誉毀損(きそん)だ」「市民の表現の自由だ」と意見は分かれたが、「どういう意図で発言したのか確認が必要だ」と、議長らによる面談が決まった。
大城議長と照喜名智副議長が8月30日に竹会長を呼び出して面談。呼び出す理由について、竹会長は議会事務局から「保育所の件で」とのみ聞かされ、発言の真意について問われることは事前に伝えられていなかったという。
面談では大城議長らが竹会長に「市議会のメンツが丸つぶれだ。どういう意図で発言したのか」と言及。発言の真意を問われることを聞かされていなかった竹会長は12日に文書で回答することになった。
大城議長は本紙の取材に「取材には応じない」と回答。竹会長は「文書を提出するまでコメントを控えたい」とした。
沖縄大の仲地博学長(行政学)は「一般論だが、議論が分かれた問題について『市長の代弁』だと市民に受け止められたこと自体、議会は考えなければならない」と指摘。その上で「行政や議会は批判があって初めて健全な民主主義が成り立つ。市民に対し、もっと寛容でなければならない」と語った。