琉球音楽の巨星たちの唄を次代へ 元「ザ・ブーム」の宮沢さん 民謡245曲採録、CD化


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元気な頃の登川誠仁さん(右)を訪ね、民謡を録音した宮沢和史さん=2012年7月、沖縄市内(唄方プロジェクト事務局提供)

 音楽家で元THE BOOM(ザ・ブーム)の宮沢和史さんが4年間かけて沖縄民謡の歌い手を訪ね歩き、録音した「次世代に伝えたい」民謡245曲を、14枚組のCDボックスにまとめた。津波恒徳さんや故・登川誠仁さんら、著名な歌い手も参加している。製作費捻出のため、民謡の記録と伝承を目的とした「唄方(うたかた)プロジェクト」(平田大一代表)を設立し、支援を募っている。寄付金600万円を集めて750セットを作り、県内の図書館や学校、県外や海外の県人会など500カ所に配る計画だ。

 CDボックスのタイトルは「沖縄 宮古 八重山民謡大全集(1)唄方~うたかた~」。非売品だが、同プロジェクトへの寄付者に1口(2万5千円)につき1セットを贈呈する。

 宮沢さんは県内全域の歌い手を訪ね「最も大切にしている曲」「後世に残したい曲」を唄三線の弾き語りで録音した。同プロジェクトに寄せたメッセージで、知名定繁さんや嘉手苅林昌さん、登川さんらが亡くなったことを挙げ、記録を残すことで「唄者の生の息遣いや情感、リズムの乗せ方」を子どもたちや海外のウチナーンチュにも伝えることができると強調。その上で「常しえのお手本となるような『音の教科書』を作りたい」と述べている。

 平田さんは、読谷村での「くるちの杜100年プロジェクト」などで宮沢さんと活動を共にしていた縁で唄方プロジェクトを設立した。「宮沢さんは完全無償で配ることを考えているため、製作費の捻出が課題だった。民謡に対する純粋な思いを共有する仲間たちとともに、宮沢さんを支援していきたい」と話した。

 同プロジェクトの事務局は17日に記者会見を開き、寄付を募る。問い合わせは唄方プロジェクト事務局(電話)090(2961)9634。
(宮城隆尋)