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佐藤優氏「新たな戦中にしない」「沖縄を本当に割らない」 新刊「ウチナー評論2」記念講演 那覇


佐藤優氏「新たな戦中にしない」「沖縄を本当に割らない」 新刊「ウチナー評論2」記念講演 那覇 「佐藤優のウチナー評論2」の出版を記念し、講演する佐藤優氏=15日、琉球新報ホール(又吉康秀撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 毎週土曜の琉球新報3面に掲載されるコラムをまとめた「佐藤優のウチナー評論2」の出版を記念し、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による講演会「私はウチナー評論の連載を通じて何を学んできたか」が15日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。佐藤氏はコラムについて「権力があるものの沈黙は構造的差別を強化する。今の日本政府のおかしさをしっかり書いてきた。同時に日本政府が何を考えているのか沖縄に伝えてもいる」と説明した。

 沖縄に限らずイスラエルなど中東での戦争、ロシアとウクライナの戦争なども取り上げていることに触れ「核戦争が起きれば沖縄の位置付けが変わる。われわれの課題は『新たな戦中』にしないことだ」と話した。沖縄でも与那国島の要塞(ようさい)化が進んでおり、偶発的な衝突が懸念されると指摘した。

 大国の力関係や国際情勢に左右されてきた沖縄県民が自らを守る手だてとして、積極的に地域外交を展開すべきだと強調した。沖縄の政治状況について「党派的には対立しても、沖縄を本当に割らないためにはどうしたら良いかを分かっている優れた政治家がいる」と役割に期待した。

 過去に辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多知事(当時)をコラムで強く批判したことについて「厳しいことを書きすぎたかもしれない。仲井真知事は政府に追い詰められた。おりやひだを含め沖縄をどう理解するか。政治的には非難しても、その部分を理解しないといけない」とも話した。 (島袋良太)