負担の「固定化」拒む 沖縄県知事・防衛相会談 県、「軽減」で国と温度差


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沖縄を初めて訪問した稲田朋美防衛大臣(左)と、会談した翁長雄志知事 =24日午後、沖縄県庁

 沖縄県の翁長雄志知事は24日、就任後初めて来県した稲田朋美防衛相との会談で、22日に起きた米軍ハリアー戦闘攻撃機の沖縄本島東沖での墜落事故に言及した。繰り返される米軍事故に対する政府の対応の甘さを批判し、「何ら現状が変わらないのは大変残念だ」と不快感を示した。知事が「変わらない」と批判した背景には、沖縄戦を起点に過重な基地負担を押し付けられてきた歴史がある。

 県は当初、会談冒頭に就任祝いの花束贈呈を予定していたが、22日の墜落事故を受けて「そんな雰囲気ではない」と急きょ取りやめた。県庁の廊下で稲田氏を迎えた翁長知事も、稲田氏本人も、厳しい表情で向き合った。続く会談で知事は、沖縄が米軍統治下にあった歴史などを説明。「戦争、強制接収、米軍統治、そして現在の基地集中があり、歴史がほとんど変わらないのに、再編計画がどうだとか言っても、県民は簡単に理解しない」と強調した。

■立ち位置

 政府側との立ち位置の違いが浮き彫りになったのは、米軍北部訓練場(沖縄県東村・国頭村)のヘリパッド移設工事を巡り、政府が自衛隊ヘリを投入した理由を県が問いただした場面だった。防衛省側は、過去にも自衛隊による物資輸送などを行った「事例」があると説明した。だが県側は輸送が災害救助や民生目的でもなく、県民が縮小を願う米軍施設の建設に行われた点を指摘し、「(沖縄を除く)46都道府県とは背景が違うでしょう」と反発した。
 一方の稲田氏は真剣な表情で耳を傾け、「知事の話に理解を示していた」(幹部)様子だったという。22日の墜落事故については稲田氏が「幸い洋上だったが、もし居住地でああいう墜落事故が起きれば大惨事だった」と述べ、これまで県側が政府に主張してきた内容を防衛相自ら“代弁”する場面もあった。県との対話に腐心する様子がうかがえた。
 だが稲田氏は「安倍政権は普天間飛行場の危険除去のために辺野古への移転を方針としている」と、普天間の移設問題で譲らない姿勢を示した。

■辺野古変わらず

 防衛省関係者は「県との訴訟を終え、辺野古を埋め立てる方針に変わりはない。その中で負担軽減の取り組みを一生懸命説明し、沖縄の理解を得られるよう努力する」と稲田氏の姿勢を説明する。
 23日に県が最高裁に上告した辺野古埋め立て承認を巡る違法確認訴訟で、辺野古移設は「普天間の固定化を避け、沖縄の負担軽減になる」と主張する政府。対する県側は「基地負担の固定化につながる」と反論し、別の方法による普天間返還を求めている。
 県幹部は会談の中で知事が多くの時間を歴史の説明に割いた理由をこう説明した。「例えば彼らが『これは沖縄の負担軽減だから』と言ったって、『われわれにとって、これは痛みでしかないんです』ということがある。それが歴史だ」(島袋良太)