南城市と業務委託契約を結んでいた古謝景春南城市長の元運転手の女性が、市長からセクハラを受けたとして市長と市を相手取って慰謝料などを求めている訴訟の第4回口頭弁論が12日、那覇地裁(片瀬亮裁判長)で開かれた。
原告の女性側が、女性がセクハラ被害について市長や市幹部とやりとりした際の音声データなど19点を証拠として提出。音声で、市長が女性に対してセクハラ行為を明確に否定せず、市長が市幹部に対して「(女性の胸に)触れた」との発言があったことが明らかになった。
被告である市長の代理人弁護士は、弁論終了後の本紙取材に音声データでのやりとりについて「前提が異なるため争う」とし、今後の弁論で反論する構えを示した。
弁論では、女性の代理人を務める加藤裕弁護士が新たに提出した証拠について説明した。
弁論などによると、音声データは女性と市長、女性と市幹部それぞれとのやりとりを録音したもの。市長とのやりとりは、女性が車内で市長から胸を触られるセクハラ被害にあったとされる2022年12月9日の3日後に録音された。
女性が、セクハラについての市長の認識を確認するため、車内で「胸を触ってきたでしょ」と問うと、市長は「うん」などと反応を示し、明確に否定しなかった。女性が被害に対する不快感を示したことに、笑いながら「触らんよ」などと答えるやりとりもあったという。
同12月19日に女性が市役所で当時の総務部長と総務課長にセクハラ被害を申告した際のやりとりでは、市長に聴き取りをした総務部長が、「肩をたたこうとしたか、何か言おうとした時に胸に触れた」などと市長から発言があったとし、「不快な発言があったのであれば申し訳ないので謝りたいと(市長は)言っていた」との説明もあったという。
加藤弁護士は、女性と市長とのやりとりを収めた音声データについて、「全体を通して、市長が虚を突かれて答えている印象だ。女性側からの『触ってきたでしょう』という問い掛けに対して、明確に否定せず、具体的な反論をすることもなく会話に応じている」と指摘した。
セクハラ被害を訴えた女性に対して市長が送ったフェイスブックのメッセージも証拠提出され、「裁判するなら昔の事実も全部公表します」などと脅すような文言が含まれていたことも明らかになった。次回弁論は来年1月28日。