北部訓練場の年内返還、菅氏が明言 知事「大変歓迎する」


この記事を書いた人 志良堂 仁
面談後、記者のぶら下がり取材に応じる(右)翁長雄志知事(左)菅義偉官房長官=8日午後7時半すぎ、那覇市の知事公舎

 菅義偉官房長官は8日、来県し、翁長雄志知事と知事公舎で会談した。菅官房長官は米軍北部訓練場の約半分の返還について、条件とされるヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設が順調に進んでいるとの認識を示し「年内の返還で交渉している」と報告した。これに対し翁長知事は「SACO(日米特別行動委員会)合意で重要なのでよろしく」と応じ、会談後に記者団に「大変歓迎しながら承っている」と評価した。従来、翁長知事はヘリパッド建設について「強引な手法は容認し難い」としてきたが、この日の会談では一切触れなかった。政府高官が同訓練場の返還時期を「年内」と表明したのは初めて。

 知事との会談に先立ち菅官房長官は名護市のホテルで金武、宜野座、東、国頭の4町村長と、ヘリパッド建設現場周辺の東村高江区の区長、米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市久辺3区の区長らと会談した。稲嶺進名護市長との会談は設定しなかった。

 北部の首長との会談でも菅官房長官は北部訓練場について「工事は着実に進捗(しんちょく)している。移設工事を進めて、年内返還ができるように米軍に対しても交渉していきたい」と、年内に工事を完了させ返還へ交渉していく姿勢を示した。伊集盛久東村長と宮城久和国頭村長は会談後、記者団に対し一部訓練場の年内返還についてそれぞれ「評価する」と発言した。

 防衛省によると、伊集村長と宮城村長はそれぞれ、菅官房長官に要請書を手渡した。伊集村長は高江区への直接的財政支援やヘリパッド工事に関する地域住民への配慮、飛行ルートの変更などを求めた。北部訓練場の一部返還に伴い減少する財源の維持に係る措置については、東、国頭の両村長とも求めた。

 高江区への直接財源措置について菅官房長官は「要望にお応えするような形でこれから調整をする」と記者団に答え、前向きな姿勢を見せた。

 翁長知事は公舎での会談後、那覇市内で菅官房長官、安慶田光男副知事らと懇談し、午後10時40分過ぎ帰宅した。菅官房長官は9日は那覇と名護を除く県内9市長の「チーム沖縄」、経済界関係者と会談し帰任する。