空手必修から10年 沖縄尚学「集中力、人格形成に効果」


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 沖縄尚学高校・付属中学校が県空手道連盟と協定を結び、沖縄空手の授業を必修化して10年目に入った。中学1年から高校2年(高3は選択制)まで毎週1回、連盟が派遣する講師の指導を受けている。2015年度は高校の491人が黒帯を取得し、取得率は44・1%。沖縄空手の必修化は「グローバル教養人」育成に向けた文化力の習得を目的としており、同校は「集中力の高まりや、人格形成などで大きな効果がある」としている。

沖縄空手の授業に真剣な表情で取り組む沖縄尚学高の生徒たち=5日、那覇市の沖縄尚学高校体育館

 「エイッ」。同校体育館に、空手着をまとった生徒の力強い声が響く。県空手道連盟の理事らが務める講師の指導に、生徒たちは皆、突きや蹴りなど真剣な表情で取り組んでいた。初段を取得している永石珠璃愛さん(18)=高2=は「講師の方たちが細かく指導してくださっているので分かりやすい。将来は海外で活躍できるサッカー選手を目指しているが、海外に行ったときも自分の誇りになる」と話した。

 沖縄尚学と空手道連盟は、07年8月に「空手指導にかかわる協定書」を締結した。授業では形を学んでおり、生徒たちは中学2年になると上地流、剛柔流、小林流、松林流の四つの流派から一つを選択し学ぶ。高校から入学の生徒は主に松林流を学んでいる。学年ごとに目標級・段を設定しており中1で5級、中2で3級、中3で2級、高校では卒業までに、中学からの生徒は黒帯(初段以上)、高校からの生徒は、茶帯(1~3級)取得を目標にしている。年2回、連盟の昇級・昇段試験を実施している(中1は年1回)。15年度の目標達成率も中学の各学年で90%を超え、高校でも85%となっている。

 指導に携わっている県空手道連盟の島袋章雄副会長は「基本を指導していくうちに、生徒たちは見違えるほどしっかりしてくる。沖縄の先人たちが体系づけた空手を学ぶことは、グローバルな人材を目指す上で大きなプラスになる」と期待を込める。

 同高校の与座宏章教頭は「グローバルな教養人に向け、沖縄の文化を人間としての中心に据えることができる。生徒たちの日々の生活への姿勢も変わり、さまざまな分野での自信、人格形成にもつながっている」と沖縄空手必修化の効果を強調した。

英文へ→Okinawa Shogaku highlights benefits of making karate compulsory