【大分県で崎原有希】高校野球の秋季九州大会(第139回九州大会)は23日、大分県の臼杵市民球場などで行われ、2回戦で登場した県代表の美来工科は熊本工と対戦。延長十三回の熱戦の末、5―6で敗れた。美来工科は5―3で迎えた八回に同点に追い付かれ、延長十三回で熊本工にサヨナラの決勝点を許した。1回戦の興南は大分商に2―7で敗れた。興南は2―1の五回、大分商の主軸に2本塁打を放たれて4得点されるなどし、引き離された。
◆美来工 延長で涙のむ/三回猛攻も八回逸機響く
八回の攻守が試合の明暗を分けた。走塁ミスで得点機を逸した美来工科はその裏、2死から4連打を浴び追い付かれる。試合はまだ振り出しに戻った状態だったが、熊本工が投打に勢いを増し、延長十三回、1死二塁から長打で熱戦にけりを付けた。
八回は美来工科にとって、ダメを押す絶好機だった。1死から3者連続安打で満塁に。しかしここで、次打者の打球は相手遊撃手の前へ。三走が本塁死した後、二走も三塁を飛び出し三本間で挟まれた。勝ち急ぐあまりの走塁ミスで併殺となり攻撃を終えた。
勝利は手にしかけていた。眞玉橋元博監督は「八回の一つのプレーで勝敗を分けた気がする。痛恨のミス」と話す。
一方で「選手らはよく頑張った」と述べ、好試合をねぎらった。
自慢の攻撃陣は九州でも力を見せた。0―2の三回、四球や敵失で1点を返すと打線に火がつく。この回、打者9人で4点を挙げ流れを引き寄せた。
守備でも好プレーがあった。延長十一回裏、左前に放たれた打球を新垣海斗が本塁に好返球し、サヨナラのピンチを防いだ。
随所に「らしさ」は発揮できただけに、主将の神山諒介は「走塁ミスや確認ミスなど最後の詰めの甘さが出た」と悔しがる。「勝っていても気を抜かずに最後まで自分たちの野球をする」と強化を誓った。(崎原有希)
◆興南、リード守れず/要所ミスが逆転契機に
興南は初回、ミスが続いて先制を許すも二回、渡辺健貴の適時打ですぐに追いつき、三回には福元信馬の適時打で逆転。前半は“塁に出て、送って、本塁に返す”という目指す野球ができていた。エースの上原麗男も低めをつく投球で試合をつくった。
しかし五回裏、1死から落とし穴があった。内野ゴロで走者にタッチする際、落球し出塁を許した後、四球などで2死一、二塁のピンチを背負う。ナインはマウンドに集まり「ここがヤマ場。乗り切ろう」と話し合った。しかし警戒していた相手の上位打線に2者連続本塁打を浴び、逆転された。
勝負どころで粘れなかった先発の上原麗男は「九州のレベルの高さを知った」と振り返る。失点の場面は勝負を急ぎすぎた感があり、落ち着いた配球が今後の課題となろう。
打線も中盤以降は、点差を意識するあまり、選手個々が本来のスイングができず、理想とするつなぐ打線が姿を消した。連打は出ず、5失策の守備も敗戦の要因となった。
我喜屋優監督は「大量得点の前にはミスが重なる」と要所のミスの改善を掲げ「夏までには違うチームになる」と選手の奮起に期待した。(崎原有希)