大分国際車いすマラソンは30日、大分市内で行われ、沖縄から出場したフルマラソン女子T34/53/54クラスの喜納翼が1時間44分56秒で初優勝、県勢としても初の栄冠をつかんだ。今夏のリオデジャネイロ・パラリンピック日本代表に選ばれた、上与那原寛和は同男子T33/52クラスに出場し、2時間0分33秒で4位に入賞した。男子T34/53/54クラスでは、同パラリンピックで12位だった50歳の山本浩之(Team Heart Space)が1時間26分2秒で初制覇した。
◆残り7キロ、仕掛け的中
昨年はハーフの部で3位に入賞した実力者の喜納翼だが、フルマラソンは初の挑戦だった。長丁場のレースに備え、一日の練習距離を伸ばし50キロ、60キロとスタミナ強化を図った。この日は、その成果が試される終盤勝負の戦いに。残り7キロ、スパートをかけた喜納が、他の追い上げを許さずテープを切った。
勝負どころを振り返り、喜納は「このタイミングしかないと思った」と話す。レース前の想定では残り2キロ前後でのスパートだったが、共に走る選手らは経験者ぞろいで「レースを引っ張り過ぎると不利になる」と、勝負をかけた。
この読みが的中。並走していた3選手は喜納の早めのスパートに誰もついていけなかった。終盤まで競る形の駆け引きが難しいレースを制した。表彰式でトロフィーを手にした喜納は「実力以上の成績となった。これまでの大会上位者の参加が少なかった」と謙遜するも「全国規模のレースで初めての優勝。とてもうれしい」と勝利の喜びをしっかり味わった。
「コーチをはじめ、支えてくれる人たちのおかげだ」と感謝の気持ちを表す。その上で、「目の前の大会を一つずつこなしていき、結果が残せれば、その先に…」と世界や東京パラリンピックでの晴れ舞台を目標に掲げる。