米軍北部訓練場に隣接するやんばる国立公園を含む「奄美・琉球」の世界自然遺産登録を巡り、環境省は2013年以降に米軍とやりとりした文書は「一切不開示」とすることを決定していたことが1日、分かった。環境省は決定理由について取材に対し「米国との信頼関係を損なう恐れ」を挙げ、文書そのものが「米軍との間で非公開とすることを前提に作成しているため」と説明した。環境省は、存在を特定した不開示文書名のリストや件数も明らかにしなかった。
文書は、調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表が開示請求した。不開示の結果を受け同団体は、政府のステークホルダー(住民)に対する説明責任の欠如を指摘。行政不服審査法に基づき、環境大臣に対して審査請求をする方針だ。
1日、環境省は取材に対し、文書の存在は認めた上で「外交・防衛への影響を考慮し、関連文書の名称含め開示は控えたい」とした。また、文書は環境省の判断で不開示としたとし「開示請求のあった資料は、非公開を前提として作成した」と説明した。
河村代表は「文書の存在を特定しながら、肝心な箇所を濁すのは情報公開の観点から問題」と環境省の消極的な姿勢を批判した。
情報公開法に精通する前津榮健沖縄国際大学学長は「少なくとも環境省は文書の開示がいかに米軍との信頼関係に影響を与えるのかを説明する義務がある」と指摘した。また「環境省は情報公開請求に対して過剰反応しているか、よっぽど知られては困るような重大事項を抱えている」可能性も示唆した。