24日からの冷え込みで冬の訪れを感じさせた沖縄地方だが、戦後最高の平均気温を記録した10月に続いて11月も気温が平年を上回る日が多く、街中にはまだ半袖のかりゆしウエア姿もちらほら見える。
量販店の衣料品売り場では半袖の夏物衣料を並べる時期が長めになるなど秋冬衣料の動きは鈍いようだ。年末商戦を前に寒さの深まりに期待する一方で、売り場で存在感を増しているのが長袖のかりゆしウエアだ。
スーパーのサンエー、イオン琉球ともに、今季は長袖かりゆしウエアの品ぞろえを充実させている。各社とも「通年でかりゆしウエアを」と提案しており、販売も年々伸びている。
「気候を言い訳にできない。暑ければシャツや薄手の商品を強化するなど、柔軟に変化に対応しないと数字が取れない」と語るのはサンエー那覇メインプレイス衣料館の吉川朝浩副店長。沖縄の夏の風物詩として定着したかりゆしウエアの長袖シャツの点数を今冬は倍増し、伝統工芸の首里織などデザインも広がる。
「長袖で柄物は派手過ぎるが、無地も増えてきた。通常のボタンダウンシャツのように着こなせ、上に合わせるジャケットの提案などもできる」と語る。
イオン琉球では従業員制服の衣替えでも、長袖かりゆしウエアを取り入れた。広報担当の喜納優子さんは「ビジネスシーンでの定着を推進したい」と語る。
売り場での品ぞろえも20アイテム程度に拡大しており、喜納さんは「気温が高めなこともあり、ネクタイをしなくてもいいストレスフリーな仕事着として広がっている」と語る。
前季も年末年始まで気温が高く推移する暖冬で冬物衣料は苦戦。今年1月下旬にみぞれが降るなど寒波が襲ったことで、「何とか冬物を処分できた」(吉川副店長)と振り返る。
百貨店のデパートリウボウの商品部担当者は「気温が高くて厚手のアウターは動きにくいが、ニーズはある。この数日の寒さで肌感覚が高まってきているので、忘年会やイベントの時期に向けて提案したい」と年末商戦を見据える。(与那嶺松一郎)