新聞で社会とつながり 那覇市の「ククル」


社会
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新聞から選んだ記事をお互いに紹介し、グループで壁新聞を作る子どもたち=8日、那覇市牧志のkukulu

 生活困窮や不登校などで孤立した子どもたちが集い、交流する場所「kukulu(ククル)」(沖縄県那覇市牧志)で毎月1回、「しんぶんカフェ」が開かれている。気になる記事を選んで紹介し合い、オリジナルの切り抜き新聞作りを楽しむ時間を通して、自分たちと社会とのつながりに気付き、仲間同士のコミュニケーションを深めている。

 しんぶんカフェは8月から毎月第2火曜に開催。座波幸代本紙デジタル戦略室エディターが講師を務めている。11月は、グループごとに「喜・怒・哀・楽」を感じた記事を選んだ。

 「哀」をテーマにしたグループは、電通の女性社員過労自殺やオブジェの火災事故の記事などで作った切り抜き新聞を発表。「長時間労働は大企業だけでなく、中小企業では当たり前の話。うちの両親も毎日のようにやってるけどそんなのおかしい」「日本って、いつも犠牲者が出てからしか対策に乗り出さない。それじゃ遅すぎるし悲しすぎる」などと意見が上がった。

 母親が保育士という少女(12)は、認可園の保育士不足の記事を読み、「お母さんが『大変』と言っているのを聞いていたが、保育園全体で人が足りずに問題になっていることを知った」と話し、ハロウィーンの記事を選んだ男生徒(15)は「僕はあまり外に出掛けないが、子どもたちの楽しそうな様子にうれしくなった」と語った。

 那覇市の包括支援事業として、ククルを運営しているNPO法人沖縄青少年自立支援センターちゅらゆいの今木ともこさんは「ここに来る子たちは新聞を取っていない家庭も多く、ニュースも見ない。新聞で自分が今いる社会とのつながりを知り、生きていく上で必要な情報を知る媒体はたくさんあるという選択肢を与えたい」と話した。