「不時着」報道に違和感 識者、メディアの姿勢批判


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 今回のオスプレイ墜落事故の表現を巡り、日本側メディアは一斉に政府発表に基づき「不時着」と報道したが、ツイッターなどで「機体が木っ端みじんになっても『不時着』なのか」との疑問が相次いでいる。

 メディアの報道姿勢などに詳しい砂川浩慶立教大教授(メディア論)は「機体がばらばらになっている事故を『不時着』とするのは非常に違和感がある。メディアが取材した事実を自らの言葉で表現せず、権力に気を遣って政府の『大本営発表』をそのまま報じるのは戦前のような全体主義、ファシズム国家になってしまう危険性をはらんでいる」と指摘した。

 今回の事故を巡っては米海兵隊が「不時着」と発表したほか、日本政府も「制御不能ということではなく、意図してその場所に降りたということだ」(中嶋浩一郎沖縄防衛局長)として「不時着」との認識を示している。

 広辞苑によると不時着の意味は「航空機が飛行中故障または燃料の欠乏などのため、航続不能となり、予定しない地点に降りること」とある。

 米軍や政府の発表に準じるかのように、NHKと民放テレビのほか、在京紙も政府発表に従い「不時着」と報じた。一方、米軍準機関紙の星条旗紙は「墜落」を意味する「Crash」と表記したほか、保守系FOXニュースも「Crash」と伝えたAP電を使用するなど、日米の報道機関で表現がばらついている。

 全国の地方紙などに記事を配信する共同通信は14日「どちらなのかを判断する客観的根拠、材料がまだ乏しい」との中途見解を示した上で「不時着」と表記した事故関連の記事を配信した。