吉開 小田 西原 県勢3人新人王闘志


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 プロボクシングの第63回全日本新人王決定戦は23日、東京の後楽園ホールで行う。県勢はライト級の小田翔夢(18)=琉球ボクシングジム、スーパーライト級の吉開右京(19)=島袋ボクシングジム、ウエルター級の西原成紀(22)=仲里ボクシングジム=が出場する。若手ボクサーの頂点を懸けた戦いに挑む3選手は、「絶対に勝利をつかむ」と闘志を燃やしている。(平安太一)

試合を前に、気迫のこもったパンチを繰り出す吉開右京=8日、沖縄市の島袋ボクシングジム

◆吉開 左右使う技巧派
 吉開右京の武器は左右のパンチを使い分ける技術の高さだ。「普段は右利きだけど状況に応じて左にスイッチすることができる」と語る。ボクシングを始めたのは高校2年からでキャリアは長くないが、今年5月のプロデビューから4戦4勝(3KO)と着実に実績を積み重ねる。「ここまで来たからには新人王を取る」と拳を握った。
 高校1年まで野球部で白球を追い掛けていたが、「個人競技をやりたかったし腕力に自信があった」とボクシングの道に進んだ。野球部時代から筋力トレーニングに力を入れていたようで、「パンチ力はある方だ」と胸を張る。ジムの島袋武信会長は「ボクシング経験は2年ほどだが、大きく成長している」と感じている。
 新人王決定戦を懸けた西軍の代表決定戦では、「試合前から(左右の)スイッチの練習をしていた」と振り返る。打たれ強い相手に苦戦したようだが、「左のストレートも決めることができた」と左右のコンビネーションがさえた。
 23日の試合で対戦する大野(石川ジム立川)は「リーチが長くてパワーがある」と言う。「打ち合いに持ち込むタイプの選手だけど、応戦できる自信はある」と強調。どんな相手でも一歩も引くつもりはない。

新人王決定戦を控え気迫のこもったミット打ちで汗を流す小田翔夢=13日、宜野湾市の琉球ボクシングジム

◆小田 KOで相手倒す
 小田翔夢は南部農林高3年の現役高校生ながら、プロでの戦績は4戦4勝4KOと圧倒的な強さを見せている。新人王決定戦でも「相手を倒したい」とKO宣言で勝利を誓う。目標にするのは世界タイトル。「応援してくれる人のために、(新人王決定戦で)絶対に勝つ」と引き締まった表情で話した。
 右のボクサーファイターで、距離を取りながら好機にたたみかけるスタイルが持ち味だ。ジムの仲井眞重次会長は「相手の隙を逃さない独特のセンスを持っていて、タイミングとスピードで倒すことができる」と小田の勝負強さを高く評価する。スパーリングでも一気に手数を繰り出す猛攻で相手を何度も苦しめた。
 小学生の頃から世界チャンピオンになることが夢で、「少しでも早くそこに近づきたい」と高校でのプロデビューを選んだ。今年5月のデビューから4KOと上々の結果を残していても、「まだまだ技術を高められる」と慢心はない。
 新人王決定戦で対戦する石井(船橋ドラゴン)は「距離を取るのがうまい選手だ」と警戒する。それでも「絶対に逃がさない。チャンスがあればすぐに仕掛ける」と持ち味を発揮して勝利をつかむ。

全日本新人王決定戦に挑む西原成紀(提供)

◆西原 仕上がり万全
 石垣市出身の西原成紀は現在、大阪の仲里ボクシングジムでトレーニングを重ねる。「調整もうまくいってコンディションは万全だ」と仕上がりは上々の様子だ。「KOで倒して沖縄の選手としての力を見せつける」と意気込む。
 戦績は4戦2勝1敗1分け。ボクサーファイタータイプで、チャンスをうかがいながら足を使って攻撃を仕掛ける技術が武器だ。「左のジャブで痛めつけて、相手のプレッシャーがなくなったところで右ストレートを当てる」と試合展開をイメージする。
 新人王決定戦を足掛かりに、世界に向けて一歩ずつ進むことを目標に掲げる。試合に向けて「気合は十分だ」と力強く語った。