真珠湾「復讐」が対馬丸に、今なお続く“後遺症”


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高良政勝理事長

 安倍晋三首相は27日(日本時間28日)、オバマ米大統領と共にハワイ・真珠湾のアリゾナ記念館を訪問し、日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊する。県内では真珠湾攻撃の3年後、対馬丸が「真珠湾の復讐(ふくしゅう)者」の異名を持つ米潜水艦ボーフィンに撃沈された。那覇市若狭の対馬丸記念会理事長の高良政勝さん(76)は「真珠湾攻撃の結果が太平洋戦争とその後の沖縄戦だ」と語った。「真珠湾攻撃がなければ、対馬丸に乗った子どもたちは犠牲者にならずに済んだはずだ。安倍首相は、真珠湾攻撃が私たちに一体何をもたらしたのか真剣に考えてほしい」

 高良さんは、真珠湾攻撃の後遺症が戦後71年たつ現在も続いていると考えている。「辺野古や高江では戦後が延々と続いている。真珠湾攻撃による後遺症の集約地が、現在の沖縄だ」と指摘する。

 高良さんは過去を悔やみながらも、今回安倍首相が真珠湾を訪問することを評価している。「むしろ訪問は遅きに失した感がある。オバマ大統領が広島で追悼の意を表したように、真珠湾で安倍首相がこうべを垂れることは意義がある」。高良さんは「しかし」と続け「安倍首相の本気度が問われるだろう。真珠湾で慰霊し、その反省を将来の沖縄や日本、世界平和のために少しだけでも思い至らせてほしい」と期待した。