豊見城市の障害者就労支援センターちいろばの訓練生でつくる防犯組織「とみぐすく防犯パトロールちいろば隊」の3人が昨年11月、市内の衣料品店で万引する男子中学生を発見し、通報した。中学生が店を出た後だったため補導には至らなかったが、店の防犯意識の向上につながったとして12月22日、豊見城署の田場広志署長から感謝状が贈られた。ちいろば隊の隊長の國吉隆哲(りゅうてつ)さん(18)は「悪いことをしても注意されると学ぶことができる。万引する人に地域がもっと関われば変わる」と話した。
11月29日、豊見城市内の衣料品店で買い物をしていた國吉さん、副隊長の花城悠介さん(19)、隊員の大城輝太(こうた)さん(19)が挙動不審な男子中学生を発見。帽子をこっそり学生服の中に入れるのを確認した。
花城さんは「誰に言っていいのか分からず、迷った」と振り返るが、ちいろば隊で学んでいた「まずは通報」を思い出し、店員に通報した。
ちいろば隊は6月末、豊見城署から障害者就労支援施設としては初めて防犯パトロールの委嘱を受け結成した。3人は学生時代“やんちゃ”で学校の先生の指導を受けることもあったが、地域のスーパーなどで「犯罪に手を染めないよう、心のブレーキを忘れないで」と呼び掛ける中、気持ちに変化が出てきた。
國吉さんは「これまで人に対して警戒心があったが、防犯を呼び掛けるうちに自然に人と話せるようになった」。大城さんは「中学生のとき、親のお金を取ってしまったことがあるが、今は悪かったと反省できる」と自身の成長を感じている。
そんな中見つけた地域での万引に、國吉さんは「俺も失敗したことがある。失敗を繰り返さず、いい方向に向かえばいい。そのためには家族や地域との触れ合いが必要だ」と話した。
店側も「今まで被害を諦めることもあったが、改めて見回りの大切さを感じた」と通報に感謝した。
豊見城署の伊波行一副署長は「店側の防犯意識向上は、万引防止に直結する。3人も自信が出てきたようでうれしい」と話し、目を細めた。(半嶺わかな)