夢のプロへ正念場 全米大学選手権V目指す テニス・リュー理沙マリー


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バックハンドの練習に打ち込むリュー理沙マリー=12月30日、南城市内(諸見里真利撮影)

 スポーツの強豪・米ミシシッピ州立大学に2016年秋に進学し、テニスの米トップ1部リーグの女子学生大会ダブルスで8強入りしたリュー理沙マリー(19)=うるま市出身、沖縄尚学高出=が、腕を磨く日々を送る。5月の全米大学テニス選手権(NCAA)出場を懸け、約300の大学がしのぎを削る1部リーグの地区団体予選に3月から出場する。年末年始に一時帰省した。将来的にはプロも視野に入れるだけに、これからが正念場。そのためには在学中には「同選手権で優勝したい」と夢を語る。(石井恭子)

 156センチ、速いテンポでの攻撃を身上とする。ベースラインから下がらず、バウンドしたボールの上がりはなをたたいて低い位置から返球するため、相手に考える時間を与えない。バックハンドも持ち味だが、サーブのパワーや安定など「成長と呼ぶにはまだまだ」と向上の途中だ。高校時代は近畿総体でダブルス優勝とシングルス準優勝、和歌山国体ダブルス優勝と国内の頂点を極めたが、今は「自分ぐらいの選手がたくさんいる」と実感する。

 高校時代は安定したストロークを武器に後衛を務めたが、昨年10月に8強入りしたITA(学生テニス協会)女子学生大会では、米学生ランク8位のジャスミン・リー=台湾出身=と組んで前後衛の両方を務める。

サーブの「パワー向上も課題」として、練習に打ち込むリュー

 サーブが速くて重い相手はざらにおり「ブレークになかなか持ち込めず、最後に逃げ切る試合がほとんどだった。(準々決勝で)最後は力尽きてしまった」と体力や気力充実の大切さも痛感する。それでも7日間、連日35度を超える猛暑日で単複16試合を戦った近畿総体を思えば「あれよりは大丈夫だった」と笑顔を見せる。

 大学では「文武両道のため」と練習時間が1日2時間半と厳しく決められており、高校時代と比べると約半分ほどになった。その分「集中しないともったいないので1球を大事にするようになった」と練習の質の向上を痛感する。

 父の影響で3歳からラケットを持ち、田場小時代は毎日のように「練習に連れて行かれた」と苦笑する。具志川東中に進むと、父と共にITF(国際テニス連盟)ジュニア大会に出場を重ねた。「国際大会の経験は練習の10倍の価値がある。試合の勘が養われるし、ここぞでポイントを取り切れるようになる」。県外のテニス強豪校から声が掛かったが、沖尚高に進んだ。平良和己監督の下で「個性を縛られず、国際大会などにも出させてもらったのが大きい」と感謝する。

 年末年始は沖尚高テニス部と練習を重ね、旧交を温めて力を蓄えた。6日に米国に戻れば、毎週末のように練習試合や大会が続く。単複、団体それぞれの出場権が懸かるNCAAの地区団体予選で結果を残して「本選に出場したい」と初挑戦に意欲を見せる。

 「(好きな選手は)フェデラー。神様みたいな感じ。プレーが滑らかで柔らかい。(今の自分は)程遠いけど」。

 高校時代から変わらぬクールでポーカーフェースの19歳。柔らかくタフなテニスを研ぎ澄まし、新天地でハードな舞台を勝ち抜いていく。