炎の龍で新境地 やちむんの造形×九谷の色彩 相馬、徳田さん共同制作


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炎の中を飛ぶ龍のオブジェを共同制作している相馬正和さん(右)と四代目・徳田八十吉さん=12月30日、読谷村の相馬さんの工房

 【読谷】読谷村で活動する陶芸家の相馬正和さんは、2015年から石川県の九谷焼の四代目・徳田八十吉さんと作品を共同制作している。主に造形を相馬さんが担当し、色付けを徳田さんが担う。九谷焼は鮮やかな色彩が特徴。石川県などで展示した際、鑑賞者から好評を得ているという。

 徳田さんは父が三代目で人間国宝だった。2010年に襲名し、順子から八十吉に改名した。女性初の徳田八十吉として、テレビや雑誌などでも多く取り上げられている。

 相馬さんと徳田さんの交流は14年に県内で開いた徳田さんの作品展がきっかけ。同年3月に徳田さんは体調不良を起こし、めらめらと燃え上がる炎の夢を見て「この夢を作品にしたい」と思い立った。相馬さんが制作したシーサーの尾が、炎のイメージに合い、共同制作することになった。

相馬正和さんと四代目・徳田八十吉さんが共同制作した「緋龍」(提供)

 これまで九谷焼に取り入れることの少なかった赤を用いて、燃え上がる炎の中から龍が立ち上るオブジェを制作した。「赤はこれまでの九谷焼ではなかった色。ただの三代目のコピーではなく、独創性を追求したい」と徳田さんは意欲を見せる。

 徳田さんとの共同制作を相馬さんは「彼女にしか出せない色があり、自分の作品を高めてもらえるのはコラボする魅力だ」と語る。徳田さんも「作品を見た人が喜んでくれる。相馬さんがいなかったらこの作品はできない」と強調する。

 やちむんと九谷焼のコラボレーションが生み出す工芸の新たな境地。相馬さんと四代目・徳田八十吉さんの二人三脚に注目が集まる。

※注:徳田さんの「徳」は「心」の上に「一」