安慶田副知事、教育庁幹部登用も依頼か 2年連続 本人は否定


この記事を書いた人 志良堂 仁

 公立学校教員候補者選考試験(教員採用試験)で特定の受験者を合格させるよう働き掛けた疑いが持たれている安慶田光男副知事が、県教育庁の幹部人事でも複数の人物の名前を挙げて登用を依頼していた疑いがあることが19日、複数の県教育庁関係者の話で分かった。関係者によると、依頼があったのは安慶田氏が副知事に就任した直後の2014年12月から翌年1月ごろと、15年末から16年初めにかけての2回とみられる。依頼について、内部で協議し「副知事にそのような権限はない」として応じなかったという。県教育長を除く課長級以上の幹部人事は県教育委員会が決定するため、登用依頼は副知事の権限を超える行為に当たる。安慶田副知事は同日、記者団に対し「やっていない」と、強く否定した。

記者団に答える安慶田光男副知事=19日、自治会館

 翁長雄志知事は19日午前、教員採用試験を巡る疑惑に関して記者団に「これから関係部局を回って事実関係を含め、きょうまでの過程を聞いて、それからの一つ一つの作業になる」と述べ、事情聴取して事実確認を調査する考えを示した。20日の定例会見で対応などについて見解を表明する見通し。

 平敷昭人県教育長は19日の教育委員会会議終了後、記者団に対し「(疑惑のある)介入はないと認識している」と否定したが、事実関係の調査について「実施を検討したい」との意向を示した。知事の定例会見にも出席する。

 複数の関係者によると、14年末ごろ、安慶田副知事から県教育庁の職員に対し複数の名前を挙げ、庁幹部に据えるよう依頼があったという。これを受け、15年1月ごろに内部で緊急会議を開き「庁内幹部の人事は教育委員会の権限であり、副知事の権限ではない」として、依頼を断ることを決め、安慶田副知事に伝えた。また15年末から16年初めにかけても登用依頼があり、同様に依頼を断ったとみられる。関係者の1人は「ここまで圧力をかけるのかと思った」と証言した。

 教育委員会は公正中立を保つため、首長からは独立した行政委員会として設置されている。県教育庁総務課によると、教育庁の課長以上の人事は、県教育委員会規則に基づき、総務課で取りまとめた案を教育委員会会議で協議し決定する。

 教育長の人事は、14年の改正地方教育行政法で教育委員長と教育長が統合され、首長が任命する。