沖縄県知事「事実ない」 副知事の口利き・人事介入疑惑


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
【右】安慶田光男副知事の口利き疑惑などについて語る翁長雄志知事=20日午前、沖縄県庁 【左】疑惑について改めて関与を否定する安慶田副知事=20日午後、県庁

 沖縄県の2015年の教員採用試験で安慶田光男副知事が特定の受験者を採用するよう口利きしたとの疑惑について、翁長雄志知事は20日の定例記者会見で「副知事に確認したところ、教育委員会への働き掛けの事実はないと聞いている」と述べた。

 安慶田副知事も同日、知事とは別に会見し改めて関与を否定した。一方、県教育庁は19日までに諸見里明前教育長ら元幹部らから事情を聞き、全員が否定したことから「働き掛けの事実はない」と結論付けた。教育庁は今後調査しないとしている。

 翁長知事は「情報を確認したところ推測や伝聞が多い。副知事も職員も信頼しつつ、県民の理解を得ながらやるにはどうしたらいいかを考えている」と話し、今後県民の信頼回復に努める意向も示した。また「こういうことがないように綱紀粛正、職員の意識改革、特別職の在り方も含め議論していきたい」と再発防止を検討する意向を示した。安慶田副知事の進退についての話は「全くない」と言及はなかったと説明した。

 安慶田副知事は20日夕、県庁で記者団に対し、採用試験での口利きと県教育庁幹部人事への介入の疑惑をともに否定。「進退の問題にならない」として職を辞す考えのないことを示した。

 翁長知事によると17日夜に安慶田副知事から疑惑について報告を受け、翌18日に移動先の宮古島市でも電話で1、2回やりとりし、19日に県庁で意見交換し、働き掛けの事実はないと判断した。疑惑が取り沙汰されたことに翁長知事は「県民にも心配を掛けていることは大変残念」と語った。

 安慶田副知事は「多くの県民に不安を与え、知事に心配を掛けたことについて大変申し訳ないと考えている。今後はより一層襟を正し、県民に疑念や誤解を抱かれることがないよう適正に公務にまい進していきたい」と述べた。

 県教育庁の調査経緯について、知事会見に同席した平敷昭人県教育長は「統括監が18日から19日に前教育長と前の統括監2人、前の参事2人の5人に電話で確認したところ、副知事の働き掛けの事実はないと返事をもらった」と説明した。