県高校新人サッカー 小禄、31年ぶり3度目V 女子は美里8連覇


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
男子決勝 小禄―那覇 前半15分、先制のPKを決める小禄の普天間太志=21日午後、恩納村赤間運動公園陸上競技場(嘉陽拓也撮影)

 サッカーの県高校新人大会は21日、恩納村の赤間運動公園陸上競技場で男女の決勝を行った。男子は小禄が2―1で那覇を破り、31年ぶりに3度目の栄冠を手にした。小禄、那覇の両校は2月9日から佐賀県で開催する第38回九州高校(U―17)大会に推薦される。女子は美里がコザを1―0で制し、8連覇を達成した。

◆縦攻撃さえ、最後は全員守備/男子小禄

 相手の裏に抜ける縦の攻撃を得意とする小禄イレブンが、決勝で持ち味を発揮。大会直前の練習試合で1―5で敗北した那覇を制し、31年ぶりの栄冠を手にした。宮崎貴士監督は「強豪チームを打ち破るたびに成長してくれた」と喜びをかみしめた。

 小禄のショートカウンターが何度も那覇のゴールを脅かした。中盤から左右に幅広く展開したい那覇に対し、小禄は前線から素早い重圧を掛け、攻め込まれると下がりながら複数で挟み込んで抑えた。反転攻勢で新垣隆太郎らボランチがボールを持つと、FWの普天間太志や下地翔真が相手守備の裏に走り込んでボールをもらい、シュートへ。しつこく仕掛け続けた前半15分、相手のハンドで得たPKのチャンスを普天間が落ち着いて決め、先制した。

 後半8分のフリーキックでは、今大会無得点の下地がきっちり追加点を挙げた。しかし同21分、選手交代で攻撃に力を入れた那覇に1点を返される。

 失点後にリズムを崩しやすい小禄だが、初戦の具志川戦で2点先制しながら延長戦に持ち込まれた反省を生かして全員守備で応戦。「大会前の強化合宿で倒れる寸前まで走り込んだ練習が自信につながった」(普天間)と、各選手が最後までマークを外さず、体を張ってゴールを死守した。

 個々の技術では那覇に劣る分、相手の攻撃を封じて守備から素早く攻撃に転じる小禄サッカーの強みがさえた試合だった。2月には九州大会に挑む。下地は「他チームの良い部分を吸収しつつ、全ての試合を勝つ」と、やる気をみなぎらせた。(嘉陽拓也)

◆連係守備で難敵しのぐ美里

女子決勝 美里―コザ 前半29分、直接FKを決めた美里の松田はな(左から2人目)のもとへ駆け寄る選手たち=21日午前、恩納村赤間運動公園陸上競技場(大城直也撮影)

 「個々の力ではコザには勝てない」(玉城匠監督)と見ていた美里は、相手エースを複数でつぶす連係守備を貫き、前半のフリーキックでもぎ取った1点を死守、難敵を振り切った。8連覇の重圧をはねのけた2年の仲座希和主将は「先輩やみんなと対話を重ねたことが試合で発揮できた。夏の総体に向けてレベルアップしていく」と、新チームの成長を誓った。

 美里は前半から4―4―2の布陣の中で声掛けとマーク確認を怠らず、前線から2対1と数的有利な状況を作ってプレスを仕掛けた。ボールを奪えば両サイドの宮城れいら、東濱早彩が深く攻め込む。カウンターの展開では守備の裏に抜けるパスでFW古波津美結がゴールを脅かした。

 前半29分。主導権を握った果敢な攻めが、相手ファウルによるペナルティーエリア内のフリーキックを引き寄せた。「枠内に入ればいい」と、MF松田はなが慎重に蹴った浮き球がそのまま決勝点となった。

 美里のメンバーは2年生3人、1年生10人でスタメン2人は高校からサッカーを始めるなど、経験はまだ薄い。玉城監督は「成長途中の選手も多い中で、近年まれに見るハードな試合を乗り切った」と選手をたたえつつ「技術ではコザに負けている。夏に向けしっかり鍛え直していく」と述べ、次の大会へ気を引き締めた。(嘉陽拓也)