【アメリカ】土地への思い 映像に 山城知佳子さん 作品、ロスで上映


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上映前に制作過程の説明をする山城知佳子さん(右)=1月24日、ロサンゼルスのエコーパーク・フィルムセンター

 沖縄出身のコンテンポラリー・アーティスト(現代芸術家)山城知佳子さん(40)が脚本・監督を務めた映像作品が1月24日、ロサンゼルスのエコーパーク・フィルムセンターで上映された。観客は沖縄特有の風景や人間模様を通して、世界に共通する土地への思いなどを描いた山城さんの作品に見入った。観客からは「沖縄に興味が持てた」などの感想が上がるなど、評判は上々だった。

 上映されたのは「OKINAWA墓庭クラブ」「あなたの声は私の喉を通った」「沈む声、紅い息」「創造の発端」「土の人」。

 「土の人」は鳥が運んで来た種の声を聞き、記憶喪失だった人が記憶を取り戻していく物語。「黙認耕作地」が舞台の一つで、土の中に潜り込むと、東アジアの各国で同じ境遇の人と出会い、互いの言葉を取り戻そうとするストーリー展開だ。

山城知佳子さん(左から2人目)と上映会に携わった町田恵美さん(右から2人目)

 観客からは「沖縄に限定した物語ではなく、世界の地域の話としても鑑賞者が想像を巡らせられる作品だった」などと高い評価を得ていた。

 上映場所のエコーパーク・フィルムセンターはロサンゼルスの北側に位置し、メキシコ系住民が多く住む住宅街。その一角にこじんまりとたたずむ美容室と棟を等しくする1階建ての古風な建物だ。中に入るとフィルムの山のほか、参考資料がアーカイブとして本棚に所狭しと収められている。数人のオーナーが経営者で、キオ・グリフィスさんの紹介で上映場所として提供された。もう一人のオーナー、リサ・マー女史は本日は「フルハウス(満員御礼)だ」と盛んに喜んでいた。

 山城さんは「このような実験映画やアートフィルムの上映もできる映画館を持つことができるロサンゼルスの方は幸せだ」としきりに感心していた。

 上映会で山城さんは「沖縄戦の記憶を今もアクチュアル(現実的)に持ち、基地を持つ沖縄に生きる人々からインスピレーションを受けて生まれたアート作品だ」と説明。シャープで触感的なパフォーマンスや映像、写真などの作品が評価されたことに「アメリカで初めて立ち会いの上映会ができてうれしい」と喜びをかみしめていた。

 山城さんは1976年沖縄生まれ。99年沖縄県立芸術大学美術工芸学部油画科専攻卒業、2000年に英国サリー州立アート・アンド・デザイン大学に交換留学。02年沖縄県立芸術大学大学院環境造形専攻修了。現代美術家、映像作家。

 上映会の10日前にはサンタモニカのギャラリー「アレナ1」で展示会があり、山城知佳子さんのほか、阪田清子、根間智子、仲宗根香織、金城徹の5氏の沖縄出身のアーティストの絵画、写真、映像作品などが展示された。(当銘貞夫通信員)