夜のコザ 車いすで乾杯! 沖縄市が初の居酒屋ツアー企画


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
乾杯をする沖縄市「ナイトツアー」の参加者=10日夜、沖縄市内

 「夜は怖いと思ったけれど、にぎやかで楽しい」。玉寄菜々美さん(24)は車いすのまま沖縄県沖縄市の商店街「一番街」などを散策し、笑顔を見せた。初めてのビールはちょっと苦かった。

 障がい者にも気軽に居酒屋などを楽しんでもらおうと、市や福祉団体などが10日、コザの「ナイトツアー」を初めて開催した。40人が参加し、昼とは異なる顔を見せるコザの街を、参加者は目を輝かせながら巡った。

 実行委員会の桑江澄子委員長は「街に出て地域の人と交流してほしい。いろんな体験をしてほしいというのが願いだ」と参加者の笑顔に姿に目を細める。

 10日午後6時ごろ、ツアー参加者が沖縄市のミュージックタウン音市場に続々と集合。好奇と不安の入り交じった表情で、親しみのなかった夜の街に繰り出した。

 ツアーでは市職員らが居酒屋などを紹介。参加者は「千ベロって何ですか」などと次々と質問。一番街などを通過する際は店舗などを物珍しそうに見ていた。

 数軒の店を見終わった後、それぞれで相談して行きたい店を決めることに。「どこに行く?」「何食べようか」。相談には少し時間がかかったが、入店後は料理を満喫した様子だった。

 仕事以外では外に出ることが少ないという肢体不自由の鹿川京介さん(20)は、焼き鳥のぼんじり串を初めて食べた。「焼き加減がいいね。おいしい」とにっこり。「いろんなところを巡れていい。朝とは違う雰囲気だ。こういう企画が続いてほしい」と話した。
 案内役を務めた市障がい福祉課の松田寿通さんは「障がい者の皆さんに楽しんでほしいというのはもちろんだが、一緒に出歩くことでバリアフリーの状況や課題を確認することもできる」と意義を強調した。

 ツアーは12月3~9日の障害者週間の一環。期間中は市役所のロビーなどで作品展示や商品販売をしていたが、障がい者がより主体的に参加できる取り組みを求める声もあり、ツアーを企画した。

(安富智希)