爆音訴訟で研究機関設立へ 厚木原告団 資料管理、沖縄とも連携


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 米軍厚木基地(神奈川県)の航空機騒音を訴える厚木爆音訴訟原告団(金子豊貴男団長)が、航空機騒音訴訟に関する資料の一元管理やデータベース化、日米地位協定の研究などを担うシンクタンク「爆音訴訟調査研究センター」(仮称)を設立することが21日までに分かった。18年春までのNPO法人認可に向け準備を進めている。「爆音のない静かな空を求める」ために設立し、将来的には嘉手納など全国の爆音訴訟の資料収集、同様な今後の訴訟に向けて理論武装する構えだ。

 沖縄県内の爆音訴訟原告団も期待を寄せる。第3次嘉手納爆音訴訟団の新川秀清原告団長は「自分たちよりも歴史がある訴訟団と協力し、新しい行動をつくることに大きく期待している。飛行差し止めへの道のりは簡単ではない。23日の判決を前に、勇気付けられる思いだ」と話した。

 第2次普天間爆音訴訟団の島田善次原告団長は「第三者行為論を盾に、米軍機の飛行差し止めに日本の裁判の手が及ばない。それを打開するためには具体的な資料を集めて、世間に提示していかなければならない」と述べた。

 厚木訴訟は全国の基地爆音訴訟原告団の中で最も長く、4次まで提訴されているが、訴状や証拠書類、判決文などの資料が別々に保管されており、資料の内容確認に時間を要したことがあったという。センター設立で一元管理すれば資料閲覧も容易になり、5次訴訟に向けた準備や全国の爆音訴訟で活用することも可能になると見込んでいる。

 活動内容はほかに、行政文書が保存期間が決まっていることなどから、自治体などによる航空機騒音関連のデータ保管も進める。基地を観察する団体との情報共有、書籍・ブックレットなどの発行も目指す。また、爆音被害が米軍基地から派生することも踏まえ、日米地位協定や国際法の研究者への情報提供、研究活動活発化のための研究論文募集なども行う。

 センターの運営費は同訴訟の賠償金から1億円を拠出し、当面10年を賄う。3月19日の同訴訟団の総会で正式決定する。

 全国七つの爆音訴訟原告団でつくる全国基地爆音訴訟原告団連絡会議の代表も務める金子団長は「ほかの弁護団の手法は違うが、資料などは共有できる。ほかの訴訟団とも協力できるはずだ」と述べ、県内の爆音訴訟団との連携にも期待した。
(仲村良太、藤村謙吾)