金城哲夫脚本賞に兵庫の山中さん 佳作は宮城さん、近本さん


この記事を書いた人 平良 正
金城哲夫のふるさと沖縄・南風原町脚本賞の大賞に輝いた山中基義さん(前列中央)、佳作を受賞した宮城淳さん(同左)、近本洋一さん(同右)=28日、沖縄県南風原町の松風苑

 沖縄県の南風原町観光協会(照屋盛夫会長)とウルトラマンシリーズを制作している円谷プロダクション(東京都、大岡新一社長)が連携して実施した「金城哲夫のふるさと沖縄・南風原町脚本賞」の受賞者発表記者会見が28日、同町津嘉山の松風苑で開かれた。全国から36点の応募があり、大賞に自営業の山中基義さん(52)=兵庫県、佳作に元小学校教諭の宮城淳さん(63)=那覇市、小説家の近本洋一さん42)=北中城村=が選ばれた。大賞作品は今後、舞台劇にして上演する予定となっている。

 大賞に輝いた山中さんは「星空の秘密」の題で、沖縄出身の両親を持つ関西育ちの女の子が沖縄の人びとと出会い、沖縄の歴史を感じていく物語を書いた。山中さんは「物書きとして最大の喜びをかみしめている。賞を授与され、夢のようだ」と喜びを語った。

 佳作の宮城さんは「妖火日(ようかびー)」の題で全編方言の作品を書いた。「妖火日は、お盆に家に来る妖怪を花火で追い払う沖縄の伝統。暗さを打ち払えるストーリーにしたかった」と話した。近本さんは「鉄ぬ世」の題で戦争時と石器時代の沖縄を行き来するファンタジーを書いた。「沖縄に暮らして22年になるが、沖縄で感じ、学んだことを書いた」と述べた。

 審査委員長を務めた映画監督の真喜屋力さんは審査の上で重視した点として「登場人物の魅力」を挙げ、「物語が多少破綻していても、登場人物が興味を引けば見続けられるし、テーマも自然に伝わる。(受賞作は)キャラが魅力的に描かれていた」と講評した。

 脚本賞はウルトラマンシリーズの脚本を手掛けた南風原町出身の金城哲夫に並ぶ脚本家を発掘することや、南風原町と沖縄の魅力を伝える作品を作ることを目的に実施した。