「飛び級」で企業長人事案を撤回 南部水道「新聞報道が影響」


この記事を書いた人 平良 正
給与引き上げ問題などに関し、南部水道企業団に質問する議会議員(中央)ら=28日、沖縄県八重瀬町の同企業団

 規則で定める上昇幅を超える給与引き上げ、いわゆる「飛び級」などを行っていた南部水道企業団(沖縄県南風原町・八重瀬町の一部事務組合、赤嶺勤企業長)は28日、企業団議会(議長・金城秀雄八重瀬町議)3月定例会を開いた。企業団は「飛び級」昇格を受けた50代男性職員を2017年度からの企業長に選任する人事同意案を議会に提案していたが「(飛び級の)新聞報道が影響するだろうとの判断に基づき、撤回する」(赤嶺企業長)として取り下げた。

 赤嶺企業長は本紙取材に「給与問題の混乱が収まった後、理事会の判断で再度提案する。同じ人を提案するかは理事の判断になる」と述べた。赤嶺企業長の任期は3月31日まで。

 企業団は城間俊安南風原町長や比屋根方次八重瀬町長らで構成する理事会を2月24日、企業団庁舎で開いた。同理事会で八重瀬町側が推薦した50代男性職員を次期企業長に選任することを決定し、28日の議会に同意案件として諮ることを確認していた。議員側には企業長の選任同意案や議事日程などが定例会前に送付されていた。

 27日付本紙報道で、男性職員が過去に「飛び級」昇格していたことが表面化した。報道を受け、同日午後に両町長や企業団議会の正副議長らによる会議を企業団庁舎で開き、28日の議会定例会に提出を予定していた企業長の人事同意案を撤回することを決めた。

 同男性を含む3人の職員が2000~03年の間に「飛び級」昇格していたことについて、赤嶺企業長は報告を受けた15年11月以降、経緯を調査していなかったことを認めた。その上で「3月中に、既に退職した職員も対象に経緯を聞き取り、結果を(報道陣に)報告したい」と述べた。

 赤嶺企業長は取材に「問題が発覚した時点で解決策を見いだせていればこのような混乱を招かなかった。利用者の皆さんにおわびしたい」と陳謝した。(当銘寿夫)