宮古島イヌマキ 「文化財の森」に 県内初、建造物修復に活用


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宮古島市の野原鏡原イヌマキ林(同市教育委員会提供)

 文化庁は7日、国宝や重要文化財などの文化財建造物の保存・修復に必要な資材を確保する文化庁の「ふるさと文化財の森」に、宮古島市上野の野原鏡原イヌマキ(チャーギ)林を設定することを決めた。県内では初めてとなる。

 文化庁は2006年度から全国各地の森林を「ふるさと文化財の森」に設定している。今回は14日付で野原鏡原イヌマキ林を含め3件が設定され、全国で71カ所となる。14日に文化庁で設定交付式がある。

 宮古島市教育委員会によると、野原鏡原イヌマキ林は約1ヘクタールの広さで、約30年前から植林され現在は約3200本が育っている。平均樹高は約8メートル。市の委託を受け宮古森林組合が運営・管理している。

 イヌマキは耐久性に優れ、シロアリ被害にも強く、沖縄・奄美地方では一級の建築材とされる。戦前・戦後の乱伐などにより希少な木材となっており、まとまったイヌマキ林は少ないという。

 市教委によると近年、資材として供給できるようになっており、名護市の国指定重要文化財「津嘉山酒造所施設」の修復資材として供給されている。市教委は「設定されることで、野原鏡原イヌマキ林の周知が図られ、県内の文化財修復に有効に活用できれば」と話した。