南風原と八重瀬両町の水道事業を担う南部水道企業団(赤嶺勤企業長)が特定の職員に対して「飛び級」昇格など不適切な給与引き上げを行っていた問題で、「不適切な昇給を是正した」として4月以降に全職員に適用しようとしている新給与体系を、「飛び級」昇格していた管理職職員が作成していたことが9日までに本紙取材で分かった。有識者は「指摘を受けた当事者が新給与体系の作成に関与するのは透明性や信頼性に欠ける。第三者が関わる過程を踏むべきだ」と指摘している。
企業団によると、2015年11月、組織内に立ち上げていた給与調査班が「飛び級」昇格や「辞令なし昇給」などの問題点を赤嶺企業長に報告した。同12月、報告を踏まえ是正した給与体系について南風原町と協議したが、町側から是正内容が不十分と指摘を受けた。
南風原町の指摘を反映させた給与体系を作成する段階で、一般職員で構成する調査班から作業辞退の申し出があったため、それ以降、「飛び級」昇格した職員3人を含む企業団管理職で新給与体系を作成し、16年9月に労働組合に提示した。
赤嶺企業長は取材に「第三者に関わってもらった方がよかったかもしれないが、報酬など新たに予算を計上する必要が出てくる。南風原と八重瀬両町に確認しながら作業を進めたので、懸念を持たれるものにはなっていない」と答えた。
前津栄健沖縄国際大学長(行政法)は「透明性や信頼性が一層確保された手続きを取るべきであり、当事者が関わっていてはその点に欠ける。第三者がチェックするなどの過程を踏むことが、住民の信頼回復につながるはずだ」と指摘した。