鹿児島銀行、法人融資を強化 沖縄支店 10人増、新店検討も


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 鹿児島銀行(上村基宏頭取)は昨年1月から始めた県内での法人営業に本格参入する。現在、18人体制の行員を4月から10人増員し、住宅ローンなどの個人部門と並行して、これまで慎重に進めてきた法人向け融資にも注力する。肥後銀行との経営統合の利点やアジアに近接する沖縄の地理的優位性を生かし、沖縄と鹿児島、熊本の企業を結び付ける商談会の開催などビジネスマッチング支援も強化する。人員増に伴い、那覇市銘苅にある沖縄支店が手狭になることから、2号店設置の検討も始めた。

 鹿児島銀行は2015年9月に、県外地銀では戦後初となる沖縄支店を那覇市銘苅に開設した。開設から1年で、住宅ローンを中心に個人融資は件数で約230件、総額で60億円余を実行した(いずれも16年8月末時点)。県内地銀との金利差から相談が相次ぎ、融資の6~7割が他行からの借り換えだった。鹿銀が支店を開設した際に打ち出した住宅ローンの最優遇金利(変動型)「0・95%」は県内金融業界に波紋を広げ、県内地銀の住宅ローン金利も影響を受ける形で1%を割り込み、低下傾向は現在も続いている。

 鹿銀沖縄支店によると、16年1月から始まった法人営業では住宅建設や不動産業など約20件、10億円の融資を実行した。預金口座の開設数も千件を超えた。さらに2月には、経営統合により誕生した持ち株会社「九州フィナンシャルグループ」(熊本県)が初の商談会を開催し、熊本の老舗百貨店「鶴屋百貨店」のバイヤーと県内企業とのビジネスマッチングを支援した。

 鹿銀が法人融資を本格化させることについて、県内地銀幹部は「影響は限定的」と指摘しつつも、鹿銀が宮崎県で医療、福祉施設への融資を進めている点を念頭に「沖縄でも、医療施設の需要が高く、その分野に踏み込む可能性はある。金利低下に拍車が掛かる懸念はある」と述べ、さらなる競争激化に警戒感を示した。