沖縄県内唯一の製鉄メーカー拓南製鉄創業者で、戦後沖縄の産業復興と工業近代化に貢献した同社会長の古波津清昇(こはつ・せいしょう)氏が14日午前5時、老衰のため死去した。94歳。八重瀬町東風平出身。告別式は17日午後2時から3時半まで、那覇市松山1の9の1の大典寺で執り行われる。
古波津氏は1923年生まれ。戦前の八重山農学校を卒業し、県農会技手になる。戦後は、空前のスクラップブームの中で52年に鉄くず取扱業の拓南商事を設立。戦争で壊滅的な被害を受けた沖縄が堅固な住宅や建築物を開発するには本格的な鉄鋼事業が必要と考え、56年に拓南伸鉄(現拓南製鉄)を那覇市壺川に設立した。61年に沖縄で初めての電気炉鉄鋼工場を完成させ、量産方式による鉄鋼生産につなげた。
拓南グループ11社で構成する拓伸会を一代で築き、団体活動でも県工業連合会の第7代会長として83年から3期6年を務め、同会の社団法人化や県産品奨励運動の推進など沖縄の製造業の振興をリードした。92年に創設した古波津製造業育成基金から毎年ものづくりの担い手への助成を実施するなど、人材育成にも力を入れた。
1990年に琉球新報賞を受賞したほか、第1回オグレスビー氏工業功労者賞など各種の表彰を受けている。
【琉球新報電子版】